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シャネル・ネクサス・ホールは、写真を主なメディアとするアジアのアーティストに焦点を当てたシリーズ第2弾を、4月12日(土)〜5月11日(日)にKYOTOGRAPHIE 2025 京都国際写真祭で、6月27日(金)〜 8月17日(日)に銀座のシャネル・ネクサス・ホールで開催する。

今年紹介するのは、インド・バンガロールを拠点に活動するアーティスト・プシュパマラ N(Pushpamala N)。彫刻家としてキャリアをスタートさせた後、1990年代半ばから自身が様々な役柄に扮して示唆に富んだ物語を紡ぎ出すフォト・パフォーマンスやステージド・フォトの制作を開始。その作品は、女性像の構築や国家の枠組みを探求するもので、美術史やアーカイブ資料、大衆文化から抽出した象徴的なイメージや原型を再現し、視覚的言語を通じて文化的・国家的記憶の形成を鋭く考察している。

展覧会では、プシュパマラのアナログで演劇的な演出が特徴的な作品を展示。デジタル加工とは対照的に、その作為的な要素を強調し、作品の根底にある概念的な枠組みに観る者の意識を向けさせる。KYOTOGRAPHIE 2025 京都国際写真祭では、テート・モダンで展示された「The Arrival of Vasco da Gama」をはじめ、「Mother India」「Avega~The Passion」の3つの主要な作品シリーズを紹介。続く東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールでは、プシュパマラがフォト・パフォーマンスを手がけた最初のシリーズ「Phantom Lady or Kismet」、その続編となる「Return of the Phantom Lady」、さらにインド美学における9つの感情「ラサ」を主題にしたセルフ・ポートレイト作品「The Navarasa Suite」など、全て日本国内初展示の作品が並ぶ。

The Arrival of Vasco da Gama
ヴァスコ・ダ・ガマ(Vasco da Gama)の歴史的な西洋絵画をもとにし、プシュパマラが男性の主役に扮した作品。サルガドの絵画『Vasco da Gama perante o Samorim de Calecute』を再演し、フィクションと歴史の境界を問い直す。

Mother India
インドの歴史的メタファー「母なるインド(バーラト・マータ)」を通じて、国家形成を遊び心を交えて検証するシリーズ。プシュパマラは、この象徴的なイメージを再現し、イギリス支配下での国民意識の覚醒を描いた。家父長制と女性抑圧が根強いインド社会において、「Mother India」は母であり女神、力強い存在として表現され、インドの超大国としての再定義や、伝統と現代価値観の対立、過去と多様性の隠蔽といった問題を考察している。

Avega~The Passion
古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」のフェミニスト的批評を表現した作品。プシュパマラは、物語の中でしばしば見過ごされがちな女性登場人物のカイケーイー、シュールパナカー、シーター—の役を演じ、伝統的に男性人物に焦点を当てた手法に挑戦している。幻想的な空間を舞台にしたこのシリーズは、3つのセクションに分かれ、各セクションで異なる視覚表現を用いながら、歴史、政治、文化に対する問いかけを行っている。

Dressing Up: Pushpamala N presented by CHANEL Nexus Hall
会期:4月12日(土)〜5月11日(日)
※休館日4月14日(月)、4月21日(月)、5月7日(水)
開館時間:10:00〜19:00
会場:京都文化博物館 別館
主催:シャネル・ネクサス・ホール
入場料:¥1,200

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Dressing Up: Pushpamala N
会期:6月27日(金)〜 8月17日(日)
開館時間:11:00〜19:00(最終入場18:30)
会場:シャネル・ネクサス・ホール
主催:シャネル・ネクサス・ホール
入場料:無料 ※予約不要

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