music
Tune in and turn up

誰しも、学生時代や駆け出しの時代に通い詰めた思い出の場所が一つはあるはずだ。飲食店やライブハウス、ナイトクラブ。その場所に根付いたカルチャーは誰かの心を大きく揺さぶり、また別の誰かの心へと受け継がれてきた。4月8日、新型コロナウイルス感染拡大に伴い政府が発令した緊急事態宣言による外出自粛要請、店への営業自粛要請は、人々の人生に指針を与えたとも言える娯楽施設に大きな打撃を与えている。

音楽エージェンシー「Dotlinecircle」を手がけるKatomanが音楽のセレクション、ディレクションを担当する渋谷・円山町の「BeatCafe(ビートカフェ)」。アーティスト、音楽愛好家達が集結するカルチャーの発信地もまた、存続の危機を迎えている。音楽、アート、スケート文化の交流の場として日本国内外問わず愛され続けてきたBeatCafeはこの情勢を受け、「KICKSTARTER(キックスターター)」によるクラウドファンディングプロジェクト「Keep the Music Alive at Beat」をスタート。

KICKSTARTERは、目標を達成することにより資金を受け取ることができる「ALL or NOTHING」スタイルのクラウドファンディングシステム。プロジェクトのクリエイターとバッカー(支援者)がある種の緊張感の中、共に目標達成を目指す。リワードとして、アーティストのエリック・エルムズ(Eric Elms)がBeatCafeでの体験をまとめたZine「FEEL THE BEAT」のデジタル版リリース、イラストレーターの俵谷晢典によるアートZineのリリース、HUF(ハフ)のデザイナー、SuedeによるTシャツなどのコラボ企画を予定している。海外では、LAを拠点とするブランド「Plesures(プレジャーズ)」によるベネフィットTシャツの発売、LAのショップ「Virgil Normal(ヴァージルノーマル)」での投げ銭オンラインDJ パーティや、などのが予定されている。

「2006年オープン以来、14年間、私たちは日本中、世界中から訪れてくれた多くのお客様達や友達との楽しい時間を積み上げて来ました。本当に色々な思い出があります。(中略)自分はBeatCafeを続けたいって強く思っていますが、お店に来てくれる人達がいなかったら店は成り立たない。今までこの店を知っている人達はもちろん、新しくこの店を知る人達のためにこの店を継続していきたいです。この機会にここBeatCafe・KICKSTARTER支店で一緒に盛り上がって目標以上を成立させたいと強く思っています。自分にとってこの決定はかなり重いです。多くの皆さんがこのクレイジーで困難な状況の中にいることを理解していますが、私たちの新しい未来のためのご支援を何卒よろしくお願いします」とKatoman。

数多くのカルチャーの発信地を存続させるため、さまざまなプロジェクトが支援を始めている。規模はそれぞれ異なるが、店を存続したいという思いはおそらく皆同じだ。心揺さぶられた記憶を守るため、そして誰かの心へと受け継いでいくため、少しでも支援協力することが思い出の場所に対して私達ができる唯一の恩返しなのかもしれない。