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Where the runway meets the street

2021年夏のカプセルコレクションで1stコレクションを飾った新クリエイティブ・ディレクター、マシュー・M・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)による「GIVENCHY(ジバンシィ)」2021年フォールコレクションのルックが公開された。

自身のデビューコレクションで披露した要素に磨きをかけ、大胆さと繊細さのコントラストが際立つコレクションに仕上げた。伝統を重視する一方で破壊的な感覚も「共生」。メンズ、ウィメンズともにテーラリング、ニットウェア、レザーなどトラディショナルな分野に焦点を当てつつ、新しい試みも取り入れた。

カラーパレットは単色に徹底。クラシックなブラック、ホワイト、シルバーグレーが、オリーブやビビッドなレッド、ピンクとのコントラストを生み、挑発的とも言えるニュアンスを創り出した。フォーマルとカジュアル、クラシックとラディカルが同時に見て取れるルックは、素材と手法の「贅沢さ」に重きを置いたという。

メンズは、衣服の「原型」を研究対象に、メゾンの伝統とストリートスタイルを融合させたシルエットのバランスに挑んだ。MA1やスタジャン、イブニング用ボレロなどのクロップドデザインが繰り返し登場。スタッズを配し、鋭いアクセントを効かせたスカルプチュラルジャージーもコレクションを象徴するアイテムだ。

装飾のキーとなるのは、ウィリアムズがジェンダーを問わず主要なテーマとして掲げるハードウェア。今シーズンはスタッズをメインに使用し、新作の4Gエンブレムバッグは、ハードウェアへの強く装飾的なアプローチも新鮮に映る。構築的なジバンシィモノグラムは、メゾンを支える精巧な伝統技術の「粋」を集めたギピュールレースをはじめ、象徴的な複数のアイテムで表現した。

メンズ、ウィメンズともに幅広く、部分的にも使うシルクは、「第二の肌」という概念を表現。特にテーラリングでは、「構築的」「快適さ」を兼ね備えた柔軟な感性が見て取れるコレクションに仕上げた。シルクをはじめ、レザーアイテムも心地良さや構築的なスタイル、カジュアルな奔放さといった魅力を落とし込み、パテントレザーのロングブーツなどレザーフットウェアも「完全な形」でラインナップ。

フットウェアは、ソールの設計にTPU(ゴムとプラスチックの長所を併せ持つ熱可塑性ポリウレタン)技術を採用するなど、快適さを重視。「マシュマロ」スライドサンダルは、ナチュラルかつ、よりフォーマルな素材ミックスで再登場し、ソールも快適さも特長という。

ウィリアムズは「突き詰めて考えると、ジバンシィのコレクションで私が挑戦しようとしていることは、今の世界を反映しています。私は今しか成し得ない、または今しか存在しないかもしれない特定の素材に関する新しい試みや、服飾における強烈なコントラストを重視しています」と話し、「メゾンならではの技術や、時代を超えた価値といった伝統も尊重しています」と続ける。

新たな試みと伝統——明確に異なる2つ要素は「相容れないものではありません」とし、「私たちが望むのは、衣服が着る人それぞれのファッションセンスの中心となり、シーズンごとのスタイルを形成することです」と明かす。「ファッションとは個人が主体のラグジュアリーであり、そこではフォーマルとカジュアルが共存し、構築的であることと快適さが両立すると考えています」とも。

こうした考えの下、ヴィジュアル面では、ウィリアムズは今回も写真家ヘジ・シン(Heji Shin)とタッグを組み、GIVENCHYの「民主的で包括的」なビジョンを打ち出す。「着られる」に対し、服を「着る人」に焦点を当て、一人一人の個性とファッションスタイルのセンスが生きる女性像、男性像を打ち出した。