style
Where the runway meets the street

ブランド:KENZO(ケンゾー)

デビューコレクション“REAL-TO-WEAR”を掲げ、今日付けでNigoが、フェリペ・オリヴェイラ・バティスタに代わり、KENZOのクリエイティブディレクターに正式に就任した。日本人デザイナーによるKENZOのショーは、創業者である高田賢三の時代以来、この秋冬レディース&メンズショーが初めてだ。

1970年(Nigoの生まれ年)高田はギャラリー・ヴィヴィエンヌ内の自身の新店舗Jungle Jap(ジャングル・ジャップ)で初のファッションショーを開いた。それから50年が経ち、今度は同じアーケードを「未来とファッションの境界線を越えるトンネルに見立てて」NigoがKENZOのデザイナーとしてのデビューを果たす。

完全にストリート、あるいは完全にラグジュアリーなコレクションを作るのではなく、NigoはKENZOのストーリーを出発点に、異なる道を選択した。最近VOGUEの取材に対し彼は「KENZOの完全版アーカイブの中の、特に初期、70年代の作品を見て、KENZOブランド全体についての捉え方が変わった。それまでは、自分が若い頃日本で実体験してきた、1980年代のデザイナーファッションブームの一端と捉えていたけれど」と説明している。

KENZOアーカイブをたぐる中でNigoはかつて見たことのなかった作品をいくつも目にした。2022年秋冬コレクションへのアプローチは、ルックそのものよりも、戦後日本を統治したアメリカ占領軍のオーダーにより着物生地で作られていたものを着想源としたスーベニアボンバージャケット、同じくミリタリーテーマのナイロン生地を使ったフライトジャケットなど、作品への深い研究姿勢を強く感じさせるものがあった。

BAPE®︎創立者であるNigoは今日のプレゼンテーションで、ラグジュアリーファッションブランドであるKENZOに対する彼のビジョンを打ち立てた。「メゾンの伝統と彼自身の現代のコードの融合」といったところだ。かつて高田のデザインした3つボタンのジャケットと、Nigoの、破壊的ブリティッシュサブカルチャー寄りの仕立て主義への親和性とが対話をする。一方、頑丈なカバーオールジャケットやワークウェアはアーカイブのポピープリントで飾られ、そこにはNigoの「非実用的ワークウェア」という発想が見られた。

ショーに使われたサウンドトラックには、NigoがこれからA$AP Rocky(エイサップ・ロッキー)、キッド・カディ(Kid Cudi)、 ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)、プシャ・T(Pusha T)、Teriyaki Boyz、タイラー・ザ・クリエイター(Tyler The Creator)、リル・ウージー・ヴァート(Lil Uzi Vert)の協力を得てこれからリリースするアルバムI Know Nigoからのエクスクルーシブプレビューが使われていた。