大野智史個展「Sleep in Jungle.」、小山登美夫ギャラリーで開催
- By HighsnobietyJapan in art
- 2020年3月2日
「小山登美夫ギャラリー」は、山梨県を拠点とするアーティスト・大野智史による個展「Sleep in Jungle.」を3月7日(土)から開催する。
1980年岐阜県生まれ。2004年東京造形大学美術学科絵画専攻卒業。同年に鹿児島県甑島のアートプロジェクト参加、亜熱帯の島で生活し、その記憶と大きなスピーカーのある東京の部屋の中での生活が溶け合ったSleep in Jungle.シリーズが生まれた。
新作は、Sleep in Jungle.シリーズとのつながりを持ち、亜熱帯のジャングルに包まれ、溶け込み、夢と同化したかのようなハッピーで幻想的な世界観を表わしている。大きな器であるベッドは男性を表し、中に寝そべる女性は居心地よくまどろみ、植物の中にいる男女の慈愛は、そのまま大野の「人間的な部分をどれだけ描けるのか」という挑戦の現れでもある。
近年、大野が描く風景画にはレイヤーの重なりが過剰に見られており、それがPCのウィンドウや動画における多層映像、現代社会の多層構造との関連が見られていたが、同展では一転し、みずみずしさと鮮やかさを保った色彩により、背景と人物が一つの画面に溶け込んでいるような描き方がされている。緑は自然界にある緑というよりも、汚染されたケミカルな緑色で描かれており、自然と現代に潜む問題との関連が見える。
制作の背景には東西の美術史と、絵画的表現の深い分析がある。大野は2013年ダイムラー・ファウンデーションのグラントでベルリンに滞在。影響を受けたドイツ表現主義作品を鑑賞し、ヨーロッパ絵画(ドイツロマン派のカスパー・ダヴィッド・フリードリヒなど)と日本絵画(長谷川等伯など)における光や霧や雲の表現の差異から、気候風土とそこで育くまれる絵画的意識について考察した。
自画像、両性具有、原生林、亜熱帯植物、プリズムといったモチーフは、大野作品における重要な要素。21世紀のデジタル化時代における絵画表現の可能性も追求し続けており、アクション性を持つ線や筆致をレイヤーのように画面に重ねていき、フラットな色面を拮抗させ、平面の画面にイメージとしての空間を構築している。
Sleep in Jungle.
会期:3月7日(土)〜4月4日(土)(日、月、祝、休み)
会場:小山登美夫ギャラリー
住所:東京都港区六本木6ー5ー4 complex665ビル2階
営業時間:11:00〜19:00
入場無料