Mattel CreationsのHot Wheels × ダニエル・アーシャムコラボ「Lap 4」はグローバルに
始め方よりも終わり方が肝心。気付けばそれが常識だった。常套句、かもしれない。しかし言い方こそ使い古されているとしても、最後にこだわることが大切であることに違いはない。古臭いと言われようが感動的と言われようが、とにかくMattel Creations(マテル・クリエイション)には終わりの美学が感じられる。
現代アートの第一人者ダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)のネオ・アルカイック美学(朽ちた、しかし澄んだディテールなど)とHot Wheels(ホットウィール)のクラシックなイメージを融合させたコラボレーションが今、有終の美を飾る最後のクリエイションを発表しようとしている。南カリフォルニアのエルセグンドの老舗玩具ブランドMattel Creationsが東アジアの列島、日本へと渡り、東京の店舗で巨匠アーティストとのコラボレーションを披露するという、海を超えたグランドフィナーレの幕開けだ。
Hot Wheelsは世界で最も売れる玩具、ミニカーの業界を何10年にもわたり牽引し、不動の地位を確立してきたブランドであり、国際的知名度も高い。炎のバナーのロゴで知られるダイキャスト(金属成形)コレクターズアイテム、Hot Wheelsのミニカーが初めて発売されたのは1960年代後半のこと。以後瞬く間に広まり、世界のあらゆる地域、信条、人種の自動車通、レース愛好家を虜にしてきた。時代を超越したドイツのPorscheモデルから、F-1メガマシンのレプリカまで、これまであらゆる車種の自動車が1:64サイズのミニカーとなって登場してきた。
東京には、プロ、アンダーグラウンド、そのほかと、長年にわたるレースの伝統がある。またアーシャムも、その代表作やアート活動に日本の影響が色濃いアーティストだ。そんなところから、東京という都市は、Hot Wheels × ダニエル・アーシャム Lap 4の発進にふさわしい。またHot Wheelsと日本との間には、クラシックなZ-Whiz(日本からの輸入車として初めてミニカーとなった車種)の発売された1977年に端を発する長年の歴史がある。日本をテーマにしたラインナップを見ていくと、Mattel Creationsという企業、Hot Wheelsというブランドが、海外の熱狂的ファンを今に至るまでいかに手厚くケアしてきたかが伝わってくる。
Lap 4の発売イベントは5月11日、東京の中心にあるアーシャムのデザインによるKith(キス)フラッグシップで開催される。Hot Wheels × ダニエル・アーシャムのコラボレーションの集大成として、また日本のコレクター文化への頌歌として、ファイナルコレクションの特別仕様モデルが、5月16日MattelCreations.comでの公式リリースに先駆け、発売される。また過去3回の発売時に登場した完売モデルについても今回、限定販売が予定されている。Lap 1、2、3のモデルを誰もが購入できる最後の機会とあり、マニアにとって見逃せないイベントとなりそうだ。
壮大なるHot Wheels × ダニエル・アーシャムのコラボレーション。今回のイベントではデザイナー本人と会えるまたとない機会も用意され、その世界観にどっぷりと浸かることができる。イベント前にKithの専用ブログでは抽選が行われ、当選者にはイベント当日、購入したミニカーにアーシャムがサインをする。また2次抽選も行われ、これに当選すると、サイン会終了後のコレクション作品購入権が確保される。抽選に漏れたとしても、これら2つの企画終了後、イベントスペースは閉店まで探訪することができる。
©︎MATTEL CREATIONS
ギャラリー・スペースはアートと遊びの融合をコンセプトにキュレーションされ、去る10月にLap 1のリリースを記念して開催された第1回のアーシャムイベントを思い起こさせるHot Wheelsトラックが特設される。
フィニッシュラインを目前にしたHot Wheels × ダニエル・アーシャム。Lap 4はデザインチームや発売日を待ち侘びるHot Wheelsファンを含め、全ての人にとって記念すべき歴史の1ページとなるだろう。輝かしい足跡を残してきたコラボレーションが、今回のLap 4をもって最高の形で終結する。となればここは盛り上がっていきたい。(2006年に『ワイルド・スピード』のオリジナル・サウンドトラックを手掛けた日本のヒップホップグループ)テリヤキ・ボーイズでも聴きながら。
- WORDS: JASON MEGGYESY
- TRANSLATION: AYAKA KADOTANI