ショーン・ステューシー、ストリートウェアを “自分自身” へ取り戻す。
S/DOUBLE(エスダブル)の動向を追うなら、目を向けるべきはオーストラリアだ。STÜSSY(ステューシー)の創設者ショーン・ステューシー(Shawn Stussy)が手がけるストリートウェアレーベルは、設立から8年後の2016年にひっそりと活動を終えていた。その後、自身のブランドSTÜSSYを離れてから20年余りを経て、彼はスケート&サーフブランドGLOBE(グローブ)本社の外壁に手描きのメッセージを残し、S/DOUBLEの復活をほのめかした。
そして再始動したS/DOUBLEは、静かに7シーズン目を迎え、コレクションはオンラインで公開されるよりも前に、オーストラリア各地の屋外広告に登場した。71歳となったステューシーは、Instagramへの投稿よりも街頭広告を優先するような、昔ながらのスタイルを好む人物だ。普段は敢えて表舞台に立たない彼だが、今回のコレクションでは自らスポットライトの中へ歩み出た。
ステューシーが特徴的なカールを描いたタッチでS/DOUBLEのロゴを手描きする映像が、最近になってメルボルンの壁画に投影された。渦を巻いたモチーフと鋭いグラフィティ調のレタリングは、彼らしいスタイルを改めて印象づけている。
ステューシーの登場はそれだけに留まらない。ショーンの息子であるテイト・ステューシー(Tate Stussy)が撮影を担当した今シーズンのキャンペーンでは、このストリートウェア界の重鎮自らが主役を務めている。
ゆったりとしたストライプシャツにダークカラーのワイドジーンズ、ボードシューズ、そしてジッパー付きのS/DOUBLEのコーチジャケットをまとったステューシーは、バケットハットにバギーなブレザーを合わせたモデルの肩越しに顔を覗かせる。グラフィック柄のセーターを着た2人のモデルが真剣にポーズをとる背後で、彼自身が大きく両手を振り回す場面も捉えられている。さらに彼は自らポートレートを撮影する場面では、立ち止まってわずかに笑みを浮かべる姿まで見せている。
普段は人目につくことを避け、インタビューや公の場にもほとんど姿を見せない彼にとって、これは極めて珍しい表舞台への復帰と言える。
服についても同じことが言える。S/DOUBLEのシーズン7は、まさにクラシックなSTÜSSYそのもの。ゆったりとしたシルエットのワークウェアに、90年代を思わせるチェックシャツ、そしてSTÜSSYのグラフィティ調のグラフィックを落とし込んだボクシーなTシャツ。南カリフォルニア、あるいはゴールデンコーストとでも呼びたくなるようなテイストが融合したコレクションだ。これこそが、STÜSSYの名を世に知らしめ、さらにはストリートウェア史に残るブランドへと押し上げた原点である。
残念ながら現時点では全て、オーストラリアでのみ入手可能だ。S/DOUBLEのリブートはこれまで、世界で最も平坦な大陸ことオーストラリアでのみ展開されてきた。その背景にはGLOBE創設者でこの復活を支えているピーター・ヒル(Peter Hill)とステファン・ヒル(Stephen Hill)兄弟の存在がある。そして本人達も、このプロジェクトをローカルな規模に留めておくことに、むしろ満足しているように見える。
「71周もすればこうなるんだ……長年の経験、たくさんのシワや傷。そして自分にとっての自由だ」と、STÜSSYは先日、Instagramに投稿したセルフィーにこう綴った。「やりたいことをやっているだけさ」
- Words: Tom Barker
- Photography: © S/DOUBLE