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写真家・野村佐紀子による写真展が3月21日(火)〜26(日)、東京・渋谷の商業施設「RAYYARD MIYASHITA PARK」3階のEN DANCE STUDIOで開催される。

同展は、江戸の彫り物文化を受け継ぐ「江戸彫勇會」の年中行事に密着し撮影した作品を収めた写真集『MAJESTIC』(Bcc)の発売を記念し開催。同著に収録した68点のうち、約20点を展示する。

野村が同作で密着した「大山詣り」は、日本で縄文時代~数千年前からあったといわれる「彫り物」文化のもとに集まった人たちが1902(明治35)年に発足した「江戸彫勇會」の年に一度の正式な参拝。入れ墨とは全く異なる彫り物は、浮世絵や舞踊、古典落語にも登場し、江戸時代に隆盛を極め、浮世絵文化の発展とともに技術性やデザイン性が向上。江戸の花形の職業とされた鳶職の町火消や飛脚、駕籠かき、魚屋、大工などに、体全体に入れる豪華絢爛な刺青が好まれ、歌舞伎役者や庶民にも広まった。幕府から禁止令も出されたが、以降も継承された。

同会は明治後期に当時東京・神田を拠点で名人として知られた彫師・彫宇之の作品を体に彫った人たちが、まとまった会を創ろうと発足。現在も数十人が在籍する。年に一度訪れる大山詣りは、神奈川・丹沢山塊の東端に位置する、日本遺産にも選出された大山で18世紀中頃から続く参詣行事で、江戸彫勇會の参拝者は締め込み姿で普段は人に見せない背中の彫り物を露わにし、滝で身を清めてから奉納と山頂を目指す。野村はこの伝統行事に参加し、今回その一部を切り取った。

会場に展示するのは、いずれもプレビューとなる作品だ。モノクローム作品68点を収録した写真集は会場限定で販売。日本の伝統的なちりめん紙に木版の版画を施した限定版と、普及版を売り出す。

展示は今後、オーストラリア、アメリカなど海外も巡回する予定だ。

野村佐紀子 写真集 『MAJESTIC』 A4変形(102P)

限定版
価格:25,000円(税込)
普及版
価格: 5,000円(税込)

野村佐紀子 写真展 「MAJESTIC」
会期:3月21日(火)〜26日(日)
開館時間:11:00〜21:00
住所:RAYYARD MIYASHITA PARK 3F EN STUDIO(東京都渋谷区神宮前6丁目20-10)

野村佐紀子
1967年、山口県下関生まれの野村は、1991年九州産業大学芸術学部写真学科を卒業。ポートレートやヌード写真などを発表し、雑誌の撮影などでも活躍。写真展は1993年より国内外で多数開催し、主な写真集に『裸ノ時間』(平凡社)、『夜間飛行』(リトルモア)、『黒闇』(Akio Nagasawa Publishing)、『TAMANO』(Libro Arte)、『another black darkness』(Akio Nagasawa Publishing)、『雁』(Bcc)、『Ango/sakiko』(bookshop M Co., Ltd.)、『愛について』(ASAMI OKADA PUBLISHING)、『GO WEST』(Libro Arte)、『春の運命』(Akio Nagasawa Publishing)などがある。