ウィリー・チャバリア×ZARAが提示する、今求められる服。
ウィリー・チャバリア(Willy Chavarria)によるZARA(ザラ)とのコラボレーションは、優れた服を生み出す運命にあった。そうならないはずがない。そこにウィリー・チャバリアが関わっているのだから。
ニューヨークを拠点とするこのデザイナーが立ち上げたブランドは、10年の歳月を経て急成長を遂げた。当初は無名だった「Palmer Trading Co.」というデザインコレクティブから、「Willy Chavarria(ウィリーチャバリア)」という個人ブランドへと移行し、2024年までにCFDAメンズウェア・デザイナー・オブ・ザ・イヤーを2度受賞するまでに至った。そして翌年、同ブランドはパリ・ファッションウィークでデビューを果たした。
ゲイであることを公表しているラテン系デザイナーの彼と、しばしばストリートキャストによって構成されているファッションショーは、排他的になりがちなファッション業界において多様性の象徴的存在として機能してきた。そしてそれ以上に、純粋に素晴らしい服を生み出している点も見逃せない。チャバリアは、絶妙に色落ちさせたオーバーサイズのTシャツと、それに合わせたデニムを作らせれば群を抜く存在なのだ。
実際唯一の問題は、彼の服作りがたびたび避けがたい制約に直面してきたことにある。仕入れ量の制限や、高品質な素材使いゆえの価格の高さ。しかし、ZARAとパートナーシップはそれらの問題を解消する。ファストファッションブランドとの提携は今回が初となるものの、その成果はまさに「チャバリアらしい」仕上がりであると言える。
デザイナーの特徴でもあるボリューム感溢れるトラウザーは、ZARAの顧客層に合わせて調整が施されている。一方、膝下丈のショートパンツは依然として優雅な存在感を保ち、たっぷりとしたスラックスはキューバンヒールのレザーローファーの上に深い陰影を落としている。メンズとウィメンズの両方を網羅するこのコレクションには、ゆとりを持たせつつも肩のラインをシャープに仕立てたブレザーや、シルエットにボリュームのあるドレスシャツ、そしてボクシーな「Chavarria」ロゴ入りフーディなど、チャバリアの代名詞とも言えるアイテムが随所に取り入れられている。プレスリリースによれば、本コレクションはチャバリアの「チカーノとしての文化的アイデンティティ」を映し出す “ポートレート” であり、全てのチャバリア・コレクションの指針でもあるという。
チャバリアらしさを体現したこれらのアイテムはアメリカやイタリアでは通常、少量生産される一方で、今回のコラボによって彼の服は格段に手に入りやすく、手頃な価格帯となっている。価格設定はZARAらしい水準に収まり、Tシャツは50ドル以下、そのほか多くのアイテムも100ドル前後となっている。中でも主役となるのが529ドルのクロップド丈のレザージャケットだ。従来のチャバリアのレザージャケットと比べると、その価格は6分の1ほどに抑えられている。
近年、ZARAはこうしたファストファッションとデザイナーとの協業において、その最前線を走っている。コラボの顔ぶれはますます充実し、日本のハイキングブランドand wander(アンドワンダー)から、LVMHプライズ受賞者で評価の高いSOSHIOTSUKI(ソウシオオツキ)、さらにはかつてMAISON MARGIELA(メゾンマルジェラ)のクリエイティブ・ディレクターを務めたジョン・ガリアーノ(John Galliano)まで、幅広い人材を惹き寄せてきた。そんなガリアーノは先週、ZARAとの2年間にわたるクリエイティブ・パートナーシップを開始すると発表している。さらにZARAは、バッド・バニー(Bad Bunny)の2025年スーパーボウル・ハーフタイムショーに向けたカスタム衣装を手がけるなど、オートクチュールの領域にまで進出している。
昨年創立50周年の一環として、ZARAはスティーヴン・マイゼル(Steven Meisel)を起用し、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)、イリーナ・シェイク(Irina Shayk)、シンディ・クロフォード(Cindy Crawford)を始めとする世界的モデル50人を撮影した大規模なキャンペーンを展開した。このプロジェクトでは、ケイト・モス(Kate Moss)やナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)、ピーター・ムリエール(Pieter Mulier)、ロザリア(Rosalía)、パット・マクグラス(Pat McGrath)といった業界を代表する顔ぶれとのコラボも打ち出されている。これは、ZARAにとって大きな節目を祝うと同時に、その確固たる地位を再確認するものでもあった。
そうした流れの中で、ZARAの50周年キャンペーンに参加したスーパーモデルのクリスティ・ターリントン(Christy Turlington)も、俳優アルベルト・ゲラ(Alberto Guerra)と共に、ウィリー・チャバリアによるZARAキャンペーンに登場している。このキャンペーンは、著名なファッションフォトグラファー、グレン・ラッチフォード(Glen Luchford)がメキシコで撮影を担当した。
ウィリー・チャバリア自身も、この一連のヴィジュアルにカメオ的に出演している。シネマティックな広角で捉えられたそのイメージは、彼の2026年秋冬コレクションの華やかなランウェイショーを想起させる。これは彼のドラマチックなデザインにふさわしい演出であり、そのデザインはかつてないほどに需要が高まっているが、これまでになく入手困難な状況だ。
- Words: Tom Barker
- Photography: © zara / Glen Luchford