Supreme(シュプリーム)とMM6 Maison Margiela(エムエム6 メゾン マルジェラ)は、前回のコラボレーションの延長線上で、マルジェラが築いてきた唯一無二のファッション革新の歴史を再び掘り起こしている。今回のコラボは、Maison Margiela(メゾン マルジェラ)のよりカジュアルなラインであるMM6とのものだが、このコレクションにはMaison Margiela愛好家に向けて、過去作を想起させる要素が随所に盛り込まれている。

例えば、継ぎ合わせたデザインのSupremeのTシャツは、創業者マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)がブランド初期に一点ずつ制作していた、ヴィンテージTシャツを再構築した作品を彷彿とさせる。一方、シアリングジャケットやTimberland(ティンバーランド)のブーツ——Maison Margiela初のTimberland!——、そしてTシャツにあしらわれた「moolah」のプリントは、マルジェラが2008年に発表したドル紙幣ウォレットへのオマージュとなっている。さらに、白いペンキが飛び散ったようなボックスロゴのフーディーは、マルジェラの白いペンキへの執着に着想を得ている。

しかし、Supremeが今回の35点からなるコレクションで参照した数々のアイテムの中でも、EVERLAST(エバーラスト)とのコラボによって制作された毛皮のサンドバッグとボクシンググローブほど印象的なものはない。このファー素材のスポーツ用品は、マルジェラの不朽の歴史におけるアーカイブに根差したものであり、引退したデザイナーの近年の作品とも通ずるものがある。

マルジェラは、キャリア初期から “髪” という要素を実験的に扱ってきており、逆さにしたウィッグでコートを制作したり、毛皮のコートから切り出した長い人工毛でモデルの顔を隠したり、ネックレスの先に髪の束を結びつけたりしてきた。本人曰く “執着” とも言える関心であり、その根底には、幼い頃に理髪師であった父親の仕事ぶりを眺めていた経験があるという。

「特に興味を惹かれたのは、お客さん一人一人に対して行われる、儀式的な髭剃りでした」と、デザイナーは最近、貴重なインタビューで語っている。「その後、母がウィッグを紹介してくれ、記憶している限り、それはとても魅力的な世界でした。こうして生まれた(髪への)執着は、私にとってごく自然なもののように思えます」

Supremeはこうした歴史を十分に理解しており、2024年のMM6とのコラボでも金髪のウィッグを取り入れている。しかし、このファー素材のボクシングウェアでとりわけ興味深いのは、それがマルジェラの現在のアーティストとしての制作ときわめて近い点にある。

マルジェラの「Barrier Sculpture」(2024年)は白い毛皮で囲われた四角い構造物であり、「BUS STOP」(2020年)はフェイクファーで覆われた実物大のバス停である。 これらはいずれも、シュルレアリスムを代表する作品として知られるメレット・オッペンハイム(Meret Oppenheim)の 毛皮のティーカップ「Objet」から着想を得たものだ。

©︎ Martin Margiela. Courtesy of Bernier/Eliades Photo: “We Document Art”

しかし、そのコンセプトは、3月19日に発売されたMM6 × Supremeのサンドバッグとグローブと同じものだ。偶然だろうか? そうかもしれない。

©︎ Supreme

MM6はマルジェラの系譜に連なるラインではあるが、デザイナーの個性は常にメインラインのコレクションにおいてより明確に表れてきた。しかし、MM6がマルジェラの過去の作品を巧みに参照していることを考えれば、マルジェラの現在の制作にも目を向けていると考えるのは、無理のないことだろう。

©︎ Supreme