VEILANCE(ヴェイランス)の方向性は、約20年にわたり一貫している。同ブランドは、ARC’TERYX(アークテリクス)の創業20周年にあたる2009年に、クリーンなラインとミニマルなグレーの色調を特徴とする、エレガントなGORE-TEX素材のソフトシェルブレザーやロングのマッキントッシュコートとともにデビューした。

“控えめでミニマルなアウトドア” が決して新しい概念ではないことを、はっきりと物語っている。同時に、VEILANCEの変わらぬセンスの良さを裏付けるものでもある。2026年春夏シーズンにおいても、ロング丈のGORE-TEXコートが再び登場しているからだ。ブレザーも引き続き展開されており、丈を短くし、春夏シーズンに適した仕様とするため、オンドリテックス(軽量で速乾性に優れた素材)が採用されている。

VEILANCEの真骨頂はまさにそこにある。核となる理念は変わらないまま、ルックは進化を続けている。カラーパレットにはアーシーなグリーンやパステル調のパープルが加わり、耐候性に優れたテーラリングも、約20年ぶりにゆとりのあるシルエットへと変化した。これまでで最も洗練され、同時に最もボリューム感のある仕上がりとなっている。

もちろん、見た目だけではない。定評のあるVEILANCEのウィメンズウェアラインからは、同じくオンドリテックス素材を使用したしなやかなスカートをはじめ、立体的なプリーツパンツ、ウエストだけを軽く絞ったゆったりとしたAラインドレスが登場している。これらは、本格的なトレッキングウェアさながらに仕立てられ、内側の縫い目には防水テープが施されている。それでいて、フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)時代のミニマルな(そして今なお多くの人に愛されている)CELINE(セリーヌ)を思わせる佇まいだ。

しかし、VEILANCEのウェアは、上品なテーラリングながら高い機能性を秘めており、パフォーマンス志向のアイテムも展開している。典型的なハイカーのウェアよりもはるかに美しい。

「Asset SL」や「Secant SL」といった防水ジャケットは、「Beta SL」や「Gamma フーディ」などARC’TERYXの定番アイテムを進化させたモデルと言える。隠しポケットのジッパーや、ややボクシーなシルエットといったディテールが、全体を洗練された完成形へと導いている。そして、ロゴを排したデザインも、その印象をいっそう引き立てている。

ARC’TERYXは、ブランドロゴを前面に打ち出すことで、世界有数のアウトドアブランドとしての存在感を製品に刻む。一方VEILANCEは、THE ROW(ザ・ロウ)やLADY WHITE CO.(レディホワイトカンパニー)に通じるミニマルな美学のもと、ロゴを一切排している。