ショーツ丈に振り回される季節

数週間前に配信した本ニュースレターのパンツ特集の中で覚えておくべきことを挙げるなら、優れた1本のパンツさえあれば、ほかのアイテムが過剰に目立つことなくさりげなくまとまる、スタイリングの軸になり得るということだ。だが、ショーツとなると話は別だ。特に今年は理想の股下丈をめぐる恒例の議論が再燃していることもあり、なおさら複雑なのだ。

定義上(そして個人的な好みで言えば)、ショーツは短くあるべきものだ。もちろん異論はあるだろう。私の同僚達のように、ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)がだぼっと穿いていそうな丈感こそが理想的なショーツだと考える人もいるかもしれない。もしあなたのショーツが実際、キュロットのようなものであるとしても、それはそれでルックを成立させるだけの個性を備えている可能性はある。例えば、Dior(ディオール)の切りっぱなしのスーツパンツやゴールドボタン付きカーゴパンツ、DRIES VAN NOTEN(ドリス・ヴァン・ノッテン)のサイクリスト並みにタイトなカプリパンツ、ssstein(シュタイン)の極太バミューダパンツ、あるいはSAGE NATION(セージ・ネイション)の抗いがたいバレル型ショーツが、その好例だ。

© HIGHSNOBIETY

しかし、もしあなたのショートパンツが、いわゆるローツ(極端に丈の長いショーツ)ではないなら、着こなしはぐっと難しくなる。必要なのはスタイリング全体のバランスだ。その鍵を握るのは? やはりプロポーションだ。例えばもう少し若かった頃の私は、極端に短いショーツにやたら大きなシャツを合わせ、傍から見ればまるでノーパンのように見える格好をわざとしていた。男があれほどまでに脚を露出することに、どこか挑発的な感覚を見いだしていたのだと思う。そして、少しビッチっぽくて、どこかプレッピーで、ビーチ帰りにそのまま海の家に立ち寄ったような、男らしさとは一線を画した別の色気に私は酔いしれていた。ポール・メスカル(Paul Mescal)も敵わないほどだ!

もちろん今でもレザーブレザーにスイムブリーフを合わせた、PRADA(プラダ)の2026年春夏コレクションのような “上はビジネス、下はパーティー” なバランス感覚には惹かれている。というか正直、自分の影響もあると思っている。一方で、かつての私が定番としていたadidas(アディダス)の約5インチ丈ショーツXXLサイズのPOLO RALPH LAUREN(ポロ ラルフローレン)を合わせたスタイルほど極端ではない、もう少し落ち着いた上下のバランスにも共感するようになった。

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それでも、ショーツは短いからこそ意味がある。私のように脚の長い人間にとって、生地は少ないに越したことはない。特に膝までの中間あたりで止まるような、デニムライクなSTUDIO NICHOLSON(スタジオニコルソン)の一本や、Brioni(ブリオーニ)のプリーツ入りショーツくらいの丈感ならなおさらだ。とはいえ、テニススカートの誰にでも似合うシルエットが好きな身としては、そのシルエットを少しでもほのめかすようなアイテムなら、男女問わずどんな体型の人が着ていても惹かれてしまう。欲を言えば、コットンのポロシャツやルーズなTシャツをインして、足もとには定番のボートシューズミュールローファー、あるいはスニーカーを合わせるのがいい。

一方、太ももはあまり見せたくないけれど、すねくらいなら出したいという方には、GU(ジーユー)、UNIQLO(ユニクロ)、JIL SANDER(ジル サンダー)によるドレッシーなミディアム丈シルエットがおすすめ。ストライプセンタークリースライニングといったディテールによって、涼しさを確保しながらも上品さは失わない。そして、テーラードからテクニカルへと続くラインナップの先には、lululemon(ルルレモン)やRier(リア)の存在がある。

というわけで、私は基本的にショーツよりパンツ派ではあるものの、ショーツの魅力や存在意義まで否定するつもりは全くない。知り合いの中で一番おしゃれなレズビアンのスタイルを目指すにしても、先ほど触れたアイルランド人俳優に対抗するにしても、ショーツは、たとえそれほど短くなくても驚くほど使い勝手が良く、可能性に満ちている。ただ、合わせる靴下は普通のソックスをしっかり見せるか、あるいは素足にするかのどちらかにすることを約束してほしい。大事なのは脚から足もとへ続くラインのバランスを綺麗に見せることだ。アンクルソックスは、その全てを台無しにしてしまう。