『プラダを着た悪魔』やメットガラなど、ファッションに造詣が深くない界隈でも、なんだかそれっぽいことをいつかのワイドショーのファッションチェックのごとく言いたくなる今日。

そんな光景を見ながら、昔、TVのファッションチェックをよくされていたドンっ! とされているポニーテールの髪型の男性に、以前働いていた職場で電話が急にかかってきて名前を伺ったら開口一番に、「俺を誰だと思ってるんだ! ふざけるな!」と理不尽に怒鳴られた思い出が蘇る。

電話越しでも装えぬ者が人の装いを語る矛盾。

それにしてもメットガラである。

結局、何のイベントがよく分からぬままド派手な姿を見せつけられる様は、まるで夜職案内の宣伝トラックが目の前を通り過ぎるがごとし。

それにしても年々、なんだか頓珍漢な装いをいかにするかになってきていないだろうか。

欽ちゃんの仮装大賞の得点パネルをもはや導入すべきであろう。

一見、デニムスタイルに見えるモデルのバヴィータ・マンダヴァ(Bhavitha Mandava)の装いが、「退屈だ」と非難を浴びながらも実はデニム風に見せたシルクのCHANEL(シャネル)のオートクチュールであるのもなんたる皮肉。

今日の資本主義、やはりバックストーリーや本質を知らずに分かりやすいものこそがラグジュアリーだと決めつける洗脳がなされており、メットガラはそんな思考を炙り出しては何がラグジュアリーかを一般人が格付けをする、まるで正月に見る「芸能人格付けチェック」

見ている誰もが自分がGACKT(ガクト)だと思い込んでいるのである。

そして、メットガラでは必ずDIVAの喧嘩が巻き起こるのも目玉である。事件は現場で起きている。

やはりブルジョワなドレスなどの装いをしていると血に飢えた中世の前世の血が騒ぐのであろうか。

以前はエレベーターの中で姉のビヨンセ(BEYONCE)の前でJAY-Z(ジェイ・Z)にキックをお見舞いするSolange(ソランジュ)や、Cardi B(カーディー・B)とニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj)のブレイキンダウンが巻き起こっていたが、今回はリアーナ(Rihanna)とA$AP ROCKY(エイサップ・ロッキー)の車内での口論に、リアーナのタイラ(Tyla)をガン無視ゴシップ。

(個人的にこのリアーナ、スチールウールの化身に見えて焦げ付きがよく取れそうだなと思ってしまった。)

凡人を逸脱した装いを求められても結局、話題になるのは人間臭い本質の部分であるというのも、なかなか味わい深いのがメットガラ。

ワイドショーでもあり、仮装大賞でもあり、格付けチェックでもあり、踊る大捜査線でもあり、ブルジョワなブレイキンダウンでもあり。世のエンターテイメントのごった煮の炊き出し会場である。

こんな炊き出し、石原軍団ですら提供できまい。

そしてこちらは、もしここに美川憲一と小林幸子が出ていたらどういう評価がされるのであろう。ピーコさんが存命していたらどう文句をつけるのであろうか。などの昭和生まれな日本人の血がどうしても騒いでしまうのである。