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Where the runway meets the street

ついに、ファストファッション企業の「グリーンウォッシュ」(取り扱い製品が持続可能性や環境に配慮したものであると消費者に思わせることを狙いとして、誤解を招きかねないマーケティング文句を用いる行為)に、監視の目が向けられるようになった。

現在イギリスでは、boohooやASOSなどの大手ブランドによるサステナビリティ関連の主張につき、同国の公正取引機関である競争・市場庁(CMA)による調査が行われている。同機関からは昨年秋、グリーンマーケティングを行う企業向けに「重要情報の割愛・隠蔽禁止」および「製品ライフサイクル全体に関する考慮義務」を規定したガイドライン「グリーン・クレーム・コード」が発表されている。

 

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boohoo、ASOSはいずれもCMAの調査に協力する旨を述べており、両社の「サステナブル」「サーキュラー」コレクションの将来は揺らいでいる。

今回のイギリスでの取り締まりは、サステナビリティマーケティングのあり方を見直す他地域の動きに続く形で発進している。6月にはノルウェー消費者庁が、ファッション業界向け持続可能性評価ツール、Higg Index由来のデータを根拠として環境関係の主張をしたアウターウェアブランドNORRØNAとファストファッション大手のH&Mに警告を出している。

そして3月には欧州連合(EU)から、環境配慮型製品としての自社製品販売を目指すブランドや小売業者に対する、より厳格な規制が提案されている。

事態はさらにアメリカへも拡大。同地ではH&Mが「自社製品をグリーンウォッシュする大規模マーケティング計画を立てた」として訴訟を受ける事態となっている。

ファストファッションのみならず、自動車、美容、高級アパレルなどの業界でも、持続可能性を主張した商品の販売は行われている。しかしboohooやASOSなどは安価な衣服を大量に生産、販売する企業であり、環境配慮とは相容れない関係と言えるだろう。

イギリス、EU、アメリカにおいてグリーンウォッシングが罰則対象の違反行為とみなされるようになってきたことで、企業が「サステナブル」や「サーキュラー」といった言葉を軽率に使わなくなる効果が期待される。より透明性の高いファッションシステムこそ、社会全体で支持できるものとなるはずだ。