マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)は自ら語るよりも、作品に語らせることを好む。寡黙なデザイナーとして知られる彼は、革新的なファッションハウスを率いていた当時、インタビューには一切応じず、プレスとのやり取りも、コレクティブ名義のファックスを通じて行うことで有名だった。しかし2009年に同レーベルを離れ、アーティストとしての活動を始めて以来、彼は言葉を発するようになった。

この型破りなデザイナーは、2019年の映画『Martin Margiela: In His Own Words』で、顔は映さないもののナレーションを務めた。近年はとき折インタビューにも応じている。そして今回日本初となる展覧会開催を前に、さらにもうひとつ、マルタン・マルジェラの貴重な近況が明らかになった。

マルジェラは東京・九段ハウスでアート展を開催する。築約100年の歴史を持つ邸宅が会場として選ばれた理由について、リリースでは「歴史的建造物の中で現代の作品を展示するコントラストをアーティスト自身が好んだため」と説明されている。

日本初となる彼の個展は4月11日から開催される(チケットは現在発売中)。デザイナーからアーティストへと転じた彼は、匿名性をテーマにしたこの展示会の内容について、珍しいコメントを寄せている。

「匿名性は、私のプライバシーを守るために不可欠であり、創作の自由にとっても重要なものだ」と記した上で「ファッションに携わっていた頃と同じ関心や執着は今も変わらないが、人間の身体はもはや唯一の表現媒体ではなくなっている」と。

ファッションデザイナーという枠を超えた存在となった今でも、人々の装いは、マルタン・マルジェラの作品に影響を与え続けている。

彼の最初の展示はパリのギャラリー・ラファイエットで開催され、染色されたウィッグが展示された。これは廃棄された衣装用ウィッグを再利用した2005年秋冬コレクションのジャケットを想起させるものだった。さらに2024年にブリュッセルとアテネで同時開催された展示会では、浜辺に漂着したビーチサンダルを拾い集めて作られた靴も披露された。これらは、廃棄物から既製服を生み出すという発想を切り開いてきた彼らしい手法である。

「私は昔から観察者であり、ありふれた物や状況に強く着想を得てきました。今日ではあらゆる技術的支援を活用するのが当然となっていますが、可能な限り手作りのプロセスを見せ続けることにこだわっています」と彼は続けた。「答えを示すよりも、疑問を植え付けることを選びたいのです」