design
Where form meets function

*本記事は2018年10月18日に発売された『HIGHSNOBIETY JAPAN MAGAZINE ISSUE 01』にて掲載したスペシャルコンテンツ。

Onitsuka Tigerは1949年の創業からこれまで、さまざまな名品や革新的なシューズの数々を生み出してきた。また、ジャパンブランドとして職人が誇る技巧やシューズの履きやすさ、その質の高さを最大の強みとして掲げている。単なる産地の名前だけに留まらない、揺るぎない信頼性とパフォーマンスの高さでこれまで多くの支持を得てきた。また、2008年には“MADE IN JAPAN”にさらなる焦点を当て、クラフトマンシップを発信していくことを目的としたNIPPON MADEというラインを新たにスタートした。そして2017年9月にオープンしたのが、ブランド史上で最も上質な同ラインの名前を冠した『オニツカタイガー 表参道 NIPPON MADE』だ。

このストア最大の魅力は、ジャパンブランドとしてのクラフトマンシップあふれるシューズのフルラインナップを見ることができる点である。中に足を踏み入れると、店内の空間自体が和とモードを組み合わせたデザインコンセプトとなっており、NIPPON MADEの世界観を存分に体感することができる。白を基調とした店内の床には絨毯が敷かれ、什器には差し色として赤、ファサードにはゴールドが使用されており、まるでギャラリースペースのような佇まいだ。

オープン当初は、ファッション感度の高い30代から40代の男女や海外からの観光客を主なターゲットと見込んでいたが、現在では当初のターゲット層はもちろん、国内外問わず若い世代など、幅広い世代がこの店舗を訪れているという。

しかし、日本人の我々からすると日本産は至極当然で、その恩恵は忘却の対象になりつつあるようにも感じられる。それでもOnitsuka Tigerは、素材へのこだわりや質の高さ、履いたときの快適さなどを追い求めることを止めない。これは全て、ブランドを信頼し続けるカスタマーに対し、常に最高のプロダクトを提供し続けることを理念としているからだ。

鳥取県の境港市に位置する自社工場は、国内における唯一のシューズ生産拠点として知られており、高付加価値モデルを中心に生産が行われている。また、鳥取で作り出されたNIPPON MADEのスニーカーの一部は、最後の仕上げのために大阪府東大阪市にある加工工場へと送られる。昔ながらの町工場といった雰囲気を醸し出す佐川工芸には一見、その外観からは予想もつかないような技がある。代表の佐川勝が多くの工程で頼りにするのは、最新のテクノロジーではなく、長年の経験で培った勘や感覚だ。この匠の技やOnitsuka Tigerが誇る生産ノウハウこそがスニーカーを単なる履物ではない、次のレベルへと昇華している。

最終工程さえ日本で行えば、確かにメイドインジャパンを謳うことは可能かもしれない。だが、Onitsuka Tigerの物作りに対する信念こそが我々日本人の忘れかけているNIPPON MADEではないのだろうか。