前回、ときを操るDIVAの話をしていたからか、YouTubeを見ていたらとある動画がおすすめに浮上。

美な魔女という、ネットで調べた定義によると 「35歳以上で年齢を感じさせない輝きを持っている女性」 が登場するチャンネルで、その動画では美な魔女2人が互いに所有するHERMÈS(エルメス)コレクションで対決するという、ブルジョアなポケモンバトルのような企画がおっぱじまったのである。

出だしから “歳” を “カラット” と呼称し、お2人は50歳代ならぬ50カラット代。そんなカラット数、ジュエラーなら金庫で厳重保管物であるが彼女達は奔放に世に放たれてはその輝きを眩しすぎるほどに、そしてカラットの重みを圧として見せつけてくれる。

背景にあらゆるHERMÈSのアイテムをディスプレイしつつ、HERMÈSの箱もジェンガのように積み上げた結果、そのオレンジが差し色の域を越えてスズメバチの警戒色のように作用しては威嚇の形となり「そちらには絶対に敵わない」と謙遜という名の牽制をしあいながら、互いのファーストバーキンを紹介するところから、50カラット級・女王蜂同士の戦いの火蓋はきって落とされる。

まずは先攻となるA氏がサイズ35のバーキンを披露。

ご主人からのプレゼントらしいのだが、「いざというシーンで必要だから一個くらいは持っておかないと」といった旨を語り出し、まるでこちらの庶民にとっての防災バッグのような感覚に横転。

マリー・アントワネット(Marie Antoinette)マインドな “バーキンの備えあれば憂いなし”。

さあさあ。ここから後攻のB氏、どう出るのか。と身構えていたら、「羨ましい〜!!!」の一言。

何が羨ましいのかと思っていたら、「どうやら買ってもらえるなんて羨ましい」の意らしく、B氏は自分の財力で購入していることを強調したいがための枕詞。

もはや軽いサスペンススリラーを見ている気分になる。

そのままB氏は自身のファーストバーキンを取り出し、「実は私もお揃い〜バーキンの35〜」とA氏と同サイズであることを説明しつつ、こう言い放つのである。

「やっぱり一番最初のバーキンは35ですよね。なんか基本じゃないですか?」

基本サイズなんて証明写真やらでしか気にしたことがない概念。なのに、ブルジョアの世界にはバーキンの基本サイズの概念が存在するらしい。

こちとら庶民、バーガーキング(すなわちバーキン)のバーガーのサイズを普通にするかJr.にするかの選択で精一杯。

もうあちらのバーキンを食すかのごとく、のっけのブルジョアなファーストバーキンの洗礼を食らってお腹がいっぱい。

ここから自分はもう “血糖” 値スパイクならぬ2人の女王の “決闘” 値スパイクで意識が朦朧となりながら動画を眺めていたのだが、ほかにも、店舗の自分の「担当」がいかに扱ってくれるか、一番高価なモノ、レアモノなどのテーマで話が続き、その度に互いに「素敵〜」「素敵〜」と褒め合う声がスズメバチがアゴをカチカチさせる威嚇音のように聞こえてきて、触れてなくともトドメにアナフィラキシーショック。

ツイリーの筒状の箱には假屋崎省吾先生もびっくりのプリザーブドフラワーを生けてアレンジしているとのことで、花も見た目を加工改造されたかと思えばそんな高貴か住処に移住させられて夜職界隈みたいな生き様だなと唖然としたりと、逐一、カラット数に比例した眩し過ぎる言動を連発する彼女達自身こそが、まさに何にも変え難い「ブランド」であることを痛感させられるのだ。