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Life beyond style

Youtube / HIJINX Net

今、我々が余儀なくされているかつてない隔離生活の中で、在宅ワークが生活と文化の主軸となっている。そこで本記事を通して、有意義なおうち時間のために、チェックするべきものから健康のためのもの、無心になる方法まで解説しよう。新型コロナウイルスの感染拡大情報や自分の身の守り方などの情報は、WHO(世界保健機関)やCDC(疾病予防管理センター)に相談してほしい。

コンテンツの移り変わりの激しい昨今、ビジュアルカルチャーであるスケートボード動画に対する注目度は大幅に落ち込んだ。ある日の仕事の休憩時間は、『Baker 4』に釘付けになるが、次の日には、@versace_plugによる最新動画の方が良いと主張している。それもInstagramのフィードに他の新しい何かが登場するまでの話だが。

スケートボード動画は全体的に、ノーカットの動画からInstagramの動画まで、気軽に楽しむことができる。1時間近いものは一つの作品として考えられる。1時間24分に及ぶSupremeの『Blessed』はまさにピッタリだろう。

世界中の何百万人もの人々が新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために各々の役割を果たしている中、動画の長さを問わず、クラシックなスケートボード動画を振り返るには今がベストだ。以下に、ノーカット動画や、編集されたもの、ドキュメンタリー、ボツシーン、スケートボードがから脱線してしまうものまで、バラエティに富んだセレクションがある。トリック集以上に、スケートボードの別の視点に迫り、これまでとは違うかたち、手段、声を通して、スポーツとしてのスケートボード、その文化的姿勢を見せている。

 

『Video Days: Behind The Blind Video』(2003)

『Blind Video Days』はこれまで最も多く検索、視聴され、全世代のスケーターにとって意味のあるビデオであり続けている。Spike Jonze(スパイク・ジョーンズ)が撮影した24分間のこの作品は、リリースされた時異常な短さだと思われた。当時、ほとんどのブランドがPowell Peralta(パウエル・ペラルタ)のロングスタイルを支持していた。

Mark Gonzales(マーク・ゴンザレス)とJason Lee(ジェイソン・リー)による『Video Days』は、Ruby Johnson(ルビー・ジョンソン)とGuy Mariano(ガイ・マリアーノ)の最初のフルのソロ作品や、チームの「トークンヴァートライダー」であるJordan Richter(ジョーダン・リクター)と共に、パワー、アブストラクト、アティチュードを融合。リリースから約10年後、今はなきOn Videoが『Video Days: Behind The Blind Video』とほぼ同尺のドキュメンタリーをリリースした。

過去のことを話すことで悪名高いGonzalesのコメントの足りないところを、Leeが若いPaul Rodriguez(ポール・ロドリゲス)やJereme Rogers(ジェレム・ロジャーズ)といった当時の新世代からの視点を視聴者に届け、埋めた。

 

Krooked Skateboards(クルキッド スケートボード)Gnar Gnar』(2007

2007年に公開されたKrooked Skateboardの『Gnar Gnar』は、DVDからオンラインコンテンツへ移り変わっている中、ビデオテープをあえて選んだ。リリース後すぐにファイル共有サイトに動画をアップしたが、『Gnar Gnar』は、2017年頃にDeluxeがカタログをデジタル化するまで、事実上噂として存在した。

Sam Salganik(サム・サルガニク)がヴィンテージのビデオカメラで撮影したこの作品は、Krookedの中心メンバーである、Bobby Worrest(ボビー・ウォーレスト)やDan Drehobl(ダン・ドレホブル)、Mark Gonzales(マーク・ゴンザレス)、亡きVan Wastell(バン・ヴァステル)が主演だが、真の価値はSalganikによって撮影された生のAlex Olson(アレックス・オルソン)だ。通りや汚れた公園の中で若いフランネルシャツを着たOlsonの滑りを見ることは、『Gnar Gnar』の「そこにあるものを撮る」という緩いスタイルに対する極上の褒め言葉だ。

 

Eli Morgan Gesner(イーライ・モーガン・ゲスナー)Concrete Jungle』(2015

2015年に、今は削除されたSkate DeStroyというYouTuberが、Rozario Dawson(ロザリオ・ドーソン)によってナレーションされた『Concrete Jungle』というドキュメンタリーのラフカットをアップロードした。KRS-One(ケーアールエス・ワン)は最初のテイクで「スケートボードのコミュニティは既に、『俺たちはヒップホップコミュニティの一員だとはっきりと大きな声で主張している』」と大胆に発言している。そこからはストーリーが少し紆余曲折しており、スケートとカリフォルニアハードコアパンクのルーツの長年の関係や、都心部にヒップホップが参入したことを詳しく説明している。

作品のラフな映像は、Zoo York(ズーヨーク)の共同創設者であるEli Morgan Gesner(イーライ・モーガン・ゲスナー)が2015年に、Gesner2007年にドキュメンタリーの製作を依頼され、約1年後に製作が終了したことを教えてくれた。プロジェクトが身を結ぶことは決してないにもかかわらず、Morganの深い知識と、総アクセスによって、Tommy Guerrero(トミー・ゲレーロ)や、Natas Kaupas(ナタス・カウパス)、Chad Muska(チャド・ムスカ)、Tony Hawk(トニー・ホーク)、Andy Howell(アンディー・ハウエル)、Paul Rodriguez(ポール・ロドリゲス)、Stevie Williams(スティーヴィー・ウィリアムズ), Terry Kennedy(テリー・ケネディ)、 Curren$y(カレンシー)、Jim Jones(ジム・ジョーンズ)、Pharrell(ファレル)、今は亡きProdigy(プロディジー)などなど、様々なアーティストが参加した。ラップミュージックがスケートボードとは無縁だった時代に、インタビューに答えた幾人かはスケートボードを「白人の少年のお遊びだ」と指摘した。

面白いことに、GesnerJeremy Elkin(ジェレミー・キン)監督自身がナレーションを務めた、Gesnerと似たテーマ「ヒップホップとスケートボードの融合」に焦点を当てた新しいドキュメンタリー『All the Streets Are Silent』(1987-1997)をからかっていた。Elkinの作品がリリースされるのを待つ間に、上の『Concrete Jungle』を観よう。

 

VISION STREERWEAR(ヴィジョン ストリートウェア)Mondo VISION』(1989

ルックブックとして1989年にリリースされた「アクションスポーツのデモンストレーションビデオ」としてリリースされたVISION STREETWEARの『Mondo VISION』は、スケートボードやBMX、ストリートウェアが乱れ混じった時代を蘇らせる作品だ。ストリートウェアの系統から除外されたVISION STREETWEARは、ポップカルチャーに浸透し、最終的にはアウトレットを通じて郊外を飽和させ、その過程で都市生活でのストリートの信頼性を失った最初の量販ブランドの一つだった。

Mondo VISION』は1989年にビデオショップのレンタルコーナーではヒットしていたかもしれないが、一部の作中の映像は80年代半ばまでさかのぼる。作品は表向きではMark Gonzales(マーク・ゴンザレス)の最初のビデオパートである「Gonzo Goes to New York」というタイトルから始まる。1987年にSHUT Skateboards(シャット スケートボード)のプロライダーであるJeremy Henderson(ジェレミー・ヘンダーソン)によって撮影された作中で、GonzalesBrooklyn Banksといったニューヨークで最も象徴的なランドマークを滑り、最も長く最も古いいくつかの手すりを使ったトリックを披露した。

VISIONのカメラクルーは80,000ドル相当のBetamaxの機器を使って通りを案内することを怖れ、Hendersonは事実上レンズの交換手となっていたという面白い話がある。

 

VHS Days Episode 04: Harold Hunter In Mixtape 』(2014

Jenkem Magazine(ジェンケム マガジン)によって2013年、2014年に「VHS Days」というタイトルでBilly Rohan(ビリー・ローハン)がナレーターを務めたシリーズの一部であるHarold Hunter(ハロルド・ハンター)のZoo York Mixtapeのエピソードは、伝説を輝かせる自由に流れるようなナレーションで語られている。Rohanのナレーションは、資料映像、スポットの歴史のメカニックを無視し、Hunterの印象を慎重に深掘りしていく。

ストーリーや、引用、マイルストーンがどれも欠けていないRohanは、無駄なく、Hunterの偉大さを6分という短さで語っている。「Hunterはマンハッタンのマスコットだった。ブルックリンに行きたいと思ったことはなかった。Hunterをウィリアムズバーグに連れて行くと、『白人しかいない』と言っているようだった」とRohanは言う。

 

Powell Peralta(パウエル・ペラルタ)The Search for Animal Chin』(1987

Skateboard』(1987)から 『Mid-90s 』(2018)まで、スケートボードが人にインスピレーション与える一面をハリウッドは精一杯捉えようとしてきたが、スケートボードの熱量と、語ろうとする物語に差異があるため、ほとんどが不十分だ。例えば、カーブを楽しむ人もいれば、技を決めるだけに滑る人もいる。極めてパーソンナルなので決めつけがたい。

フィクションの人物像をメタファー、Powell Peraltaチームのライダー達を表現手段に、Stacy Peralta(ステイシー・パラルタ)の『The Search for Animal Chin 』は完璧な映像を作るより「興奮を求め続けるスピリッツ」を伝える。撮影する時でさえ、見飽きた光景と知りながらも撮影を続け、ヒヤヒヤする場面や偶然なかっこよさを誘う。

The Search For Animal Chin』に楽しめる安っぽさと今っぽいリファレンスが溢れていることは、履き潰したエアジョーダンワンやSteve Caballero(スティーブ・キャバレロ)のMisfits(ミスフィッツ)の「Crimson GhostTシャツから分かる。ちなみに「Powell Peraltaのオフィシャル商品」ではないという理由から、Peraltaから怒られたこともあったそうだ。

 

BEAGLE Tapes: Episode 06 – Antwuan Dixon

Baker/Deathwish Skateboards’(ベイカー スケートボード、デスウィッシュ スケートボード)のビジュアルドキュメンタリアンRyan “Beagle” Ewing(ライアン・ビーグル・ユーイング)はスケートの歴史を見事に捉え、ロサンゼルスのストリートや郊外のスクールヤードで起きる狂熱さを記録している。ふざけた行為にトリックのアングルをカメラに収めることがEwingのトレードマークだ。2020年の始め頃には『Baker Gang』やそのほかをキャプチャーした生ビデオを『BEAGLE Tapes』シリーズとして視聴者を魅了した。

作品、制作、カットシーン、チアリーディングから実況解説までユーモアと派手さが響き渡っている。エピソード6は数千じゃなくても数百時間のアーカイブビデオから選りすぐられ、Antwuan Dixon(アントワン・ディクソン)の魅惑的な上品さやコントロール力にフォーカスしている。

 

GREEN APPLE Skateboard Shop(グリーンアップルスケートボードショップ)Gang Green』(2018

GREEN APPLE Skateboard Shopはオフラインや低い解像度のYouTubeビデオに精を出しているが、モダンスケートビデオにコレクティブ・ストアは知名度が低いがゆえに否定すべきものではない。常にBRONZE56kの創始者Peter Sidlauskas(ピーター・サウドラウスカス)の口から名前が出されるほど、編集にはインターネットから拾った映像やポップカルチャーのサンプル、変わった趣味のサウンドトラックセレクションから昔のインターネットの模倣作であるBRONZE56kのファーストステージがのぞける。

カナダのウィネペグをベースにまだ世間に晒されていない一流スケーターたちをグループに置き、真のアウトサイダーの目線からの演出は風変わりだが同感できるものとなっている。2018年にThrasher Magazine(スラッシャー・マガジン)よりリリースの『Gang Green』の自由な伝統を引き継いだスケートと編集の前衛的ミックス。

 

Action East(アクション・イースト) – Along The Eastern Edge(1986)

初めて『Along the Eastern Edge』を見てから、Ed Koch(エド・コッチ)時代のNYCのスケート映像に夢中になった。不毛に感じるストリートや色に欠ける街は、グラフィティーとMike Vallely(マイク・ヴァレリー)を含む派手な服を好むスケーターたちの救いとなった。

デモ映像から注目を集めるに違いないが、即興ストリートジャムやRun-DMC(ラン・ディーエムシー)によるフリースタイルセッション、汚れたトラックヤードを盛り上げるOingo Boingo(オインゴ・ボインゴ)からの暗い黙示録的なイメージをシュールなまでに広げ、このビデオにエッジをつけた。

52分ぐらいに好戦的なパフォーマンスアートとしてアメリカ東海岸でのスケーティングを映している。郊外の倉庫にある、人がごった返しになっているランプにいたとしても、『Along The Eastern Edge』を見たことない場合は、上の動画をチェックしてほしい。

 

Fancy Lad(ファンシー・ラド)– 『Is This Skateboarding』(2016)

Fancy LadのビデオはバックヤードレスリングみたいなDIY感、オーバーリアクション、間抜けさがあり、それをオリジナティとスキルで表現している。『Is This Skateboarding 』は、パロディーであり、リアリティ。ウォームビール(ドリンキングゲーム)のように、夢中にさせるほど“ぬるい”。決まった形はなく、コンセプトに良いも悪いもない。スケートボードとは縁のない人たちが、赴くままに滑り、成功と失敗をするなんとも言い難い衝動の連続だ。

パンクだが問題ではない。『Rodney Mullen on Bath Salts』のMatt Tomasello(マット・トマセッロ)のセクションもしっかり編集されている。Ladsの創始者Nick “Big” Murray(ニック・ビッグ・マレー)とColin Fiske(コリン・フィスケ)は、慣習を手本にしながら壊す。まだ洗っていないカルチャーブレンダーに作品を丸ごとぶち込むように。これを理解するには、作品を観なくてはならない。