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Where form meets function

Josh Sobel

毎年12月の1週目、少し早いフェスティブシーズンの開始を告げるかのように、マイアミに“カルチャー”が勢ぞろいする。ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)も定期的に訪れ、4日間の会期中に10を超えるパーティーに参加している。ビーチで開催されるパーティーはヤング・サグ(Young Thug)によるパフォーマンスも行われ、マイアミ中が、バーE11EVEN Miamiに行き着いてしまう。

2002年からスタートしたArt Basel Miami Beachのアートフェアは、Miami Beach Convention Centerで開催され、カニエ・ウェスト(Kanye West)がスケートボードでトリックに挑む姿や、ジャン=ミシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat)とジョージ・コンド(George Condo)の作品を見ることができる。まさに、ポップカルチャーという言葉を集結させた場所である。

もし今年のArt Basel Miami Beachを見逃してしまったならば、『Highsnobiety』厳選の10作品を確認してみてはどうだろう。

KAWS(カウズ)
『New York』
2018年

ギャラリーSkarstedt Gallery(スカーステッド ギャラリー)、ニューヨーク / ロンドン

『Highsnobiety』でも度々取り上げている、アメリカ・ブルックリンを拠点にする伝説的ストリートアーティストのKAWSは、作品『New York』にて同都市へダークなオマージュを捧げた。ブライアン・ドネリー(Brian Donnelly)は、常に漫画風のスタイルの中にも破壊的要素を何層にも散りばめてきたが、今作品も同様である。

村上隆
『Forest Companions』
2017年

ギャラリーPerrotin(ペロタン)、パリ / 東京 / ソウル / 上海 / ニューヨーク / 香港

村上隆は注目のアーティストであり、Art Basel Miamiでも例外でなかった。国際的なギャラリーのPerrotinでは現在、この日本人アーティスト初となる中国本土での個展を開催しており、2017年の作品『Forest Companions』を展示中。落ち着いた色彩の(少なくとも村上にとっては)アイコニックなクマと小さな花のモチーフが大きなキャンバスを埋め尽くしている。しかし、この作品において特筆すべきは、用いられたその透けるように薄い作風の手法である。

ジャン=ミシェル・バスキア
『The Whole Livery Line』
1987年

ギャラリーEdward Tyler Nahem(エドワード タイラー ナヘーム)、ニューヨーク

バスキアはグラフィックから影響を受けたペインティングで最も有名なのではないだろうか。最近では作品をフィーチャーした洋服も大量に見られるが、SAMO(セイモ)と名乗りバンド活動をしていた初期の作品が最高傑作と言えるだろう。上の画像はバスキアが亡くなる1年前の作品で、キャンバスに描かれる以前のSAMO時代のグラフィティをオリジナルとしている。

ディアナ・ローソン(Deana Lawson)
『Binky & Tony Forever』
2009年

Rhona Hoffman Gallery / Deana Lawson

ギャラリーRhona Hoffman Gallery(ローナ ホフマン ギャラリー)、シカゴ

上の画像でブラッド・オレンジ(Blood Orange)のアルバム『Freetown Sound』を思い出す人もいるだろうが、この作品は2016年にリリースされた同アルバムよりも前に発表されている。実際に、2009年の同作品は、『Freetown Sound』のアルバムへ影響を与えているとブラッド・オレンジのデヴ・ハインズ(Dev Hynes)がディアナ・ローソンに伝えている。ローソンの作品の多くでは、『The New Yorker』曰く、“黒人たちによる究極の愛の肖像画”に焦点を当てている。ローソンによって写真に収められたビンキーとトニーのカップル(実際の関係はない)から壁に貼られたマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)のポスターまで、その一つ一つの細部がどれも自然に見える。

ス・ド・ホ(Do Ho Suh)
『Specimen Series: Refrigerator, Unit 2, 348 West 22nd Street, New York, NY 10011, USA』
2015年

ギャラリーVictoria Miro(ビクトリア ミロ)、ニューヨーク

韓国生まれのニューヨークを拠点とするアーティストのス・ド・ホは、家の中で見つけた主題を透明なポリエステル素材を使用して再現しながら、家や移動、空間というテーマを探求している。Art Basel Miamiでは、ニューヨークのVictoria Miroギャラリーが“Specimens”シリーズから『Refrigerator』を展示した。この美しい作品を見た後では、自分の家にある冷蔵庫を見たくはなくなるだろう。

レアンドロ・エルリッヒ(Leandro Erlich)
『Traffic Jam (Order of Importance)』
2018年

ギャラリーRuth Benzacar、ブエノスアイレス

たとえアートに関心がないとしても、レアンドロ・エルリッヒの砂を削って作られた交通渋滞を好きにならずにはいられないだろう。このアルゼンチン人アーティストは、風変わりなスカルプチャーや目の錯覚によるプールなどで知られる。

砂と3種の異なる塩を使用して(硬化させるため)作られた『Traffic Jam(Order of Importance)』は、タクシーやSUV、パトカーなど様々な車の細部にまで忠実である。もしこれでも十分でないというならば、来年のArt Baselで発表される実寸サイズの作品を見に行くのはどうだろうか。

ジョージ・コンド
『Elastic Figures』
2010年

ギャラリーLévy Gorvy(レヴィー ゴルヴィー)、ニューヨーク / ロンドン

カニエ・ウェストの『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』のアートワークを手がけた人物として知られるジョージ・コンドの作品は、Art Basel Miamiで複数のギャラリーによって展示された。“Artifical Realism(写実のデフォルメ)”による手法は漫画風のポップアートの要素と、ピカソ(Picasso)に似たキュービズム、印象派のマティス(Matisse)とジャクソン・ポロック(Jackson Pollock)のタッチを混ぜ合わせている。上の画像の『Elastic Figures』は、ユーモア、異様さ、不穏、不可解さが次々と描かれている。

アイ・ウェイウェイ(Ai Weiwei)
『Study of Perspective』
1995〜2003年

ギャラリーneugerriemschneider、ベルリン

中国人アーティスト兼アクティビスト、アイ・ウェイウェイは、社会正義や人権侵害、構造的暴力に対する批判的な作品で名声を得た。2005年〜2009年の間にウェイウェイのブログで公開された『Study of Perspective』は、ホワイトハウスやエッフェル塔、天安門広場など世界中の有名なランドマークに対して中指を立てた写真のシリーズである。

キース・ヘリング(Keith Haring)
『Untitled(Burning Skull)』
1987年

Josh Sobel

ギャラリー:Lévy Gorvy(レヴィー ゴルヴィー)、ニューヨーク / ロンドン

キース・ヘリングのシグネチャーであるカラフルな人や床を這う赤ん坊の中でも、『Untitled(Burning Skull)』は、何か際立つものがある。エイズと診断される前年に作られ、ドクロのミニチュアフィギュアは、80年代の暗い部分のニューヨークを反映している。

1930年にエイズの合併症で亡くなった後も、ヘリングの作品は生き続け、A Bathing Ape(ア ベイシング エイプ)やJOYRICH(ジョイリッチ)、Dickies(ディッキーズ)、UNIQLO(ユニクロ)などのブランドにより、新たな世代へとその独自のスタイルが広められている。

ウィリアム・クーポン(William Coupon)
『Heroes of the New Wave』
1978〜1988年

ギャラリーHoward Greenberg Gallery(ハワード グリーンバーグ ギャラリー)、ニューヨーク

セレブリティたちはこれまで記録され過ぎてきたが、ウィリアム・クーポンの作品においてはどこか違う。その写真のスタイルは、絵画的で学校で撮るようなポートレートのようである。ニューヨークの有名人や歴代大統領、ドナルド・トランプ(Donald Trump)などの誰を撮ったとしても、目をみはる程の逸脱したクオリティが作品にはある。

上の写真にある“Heroes of the New Wave”シリーズでは、ジャン=ミシェル・バスキアやデボラ・ハリー(Debbie Harry)、1980年代前半にニューヨークで人気を博したMudd Clubのオーナーであるスティーブ・マス(Steve Mass)などのポートレートが捉えられている。