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Press / Sotheby's

覆面ストリートアーティスト、バンクシー(Banksy)の作品とされる、都内の防潮扉に描かれていた作品が、都庁舎(新宿区)で公開される見通しであることが明らかになった。国内の複数のメディアが、小池百合子都知事が4月17日に登壇した講演の中で作品の公開について触れたと報じた。

絵は、新交通「ゆりかもめ」日の出駅近くの防潮扉に描かれているのが発見され、扉を所有する都が、1月に当該部分を取り外し保管。傘を差し上を見上げるようなネズミの姿が、これまで多くの作品でバンクシーが用いてきたステンシルアートの技法で描かれている。

発見後、小池知事も実際に現場に訪れ、自身のツイッターで「あのバンクシーの作品かもしれないワイイねずみの絵が都内にありました! 東京への贈り物かも?」などと記し喜びをあらわにしたが、一部の市民らからは疑問や反発の声も挙がっている。

この絵について、バンクシー本人は現時点で公式に自身の作品とは認めていない。本物である可能性が高いとする専門家の声も報じられ、真贋の判断が待たれる中、国内では違法行為となる公共物などへの「落書き」とも取れるストリートアートへの反発はいまだ根強い。同作発見に関する一連の騒動直後から、全国でバンクシーの作品に似ているとされる絵が見つかるたびに、「本物か偽物か」「違法かアートか」の議論は、常につきまとってきた。

朝日新聞によると、絵は10連休となるゴールデンウィーク前から連休にかけて「2週間ほど」展示する方向で調整し、庁舎内の展示場所には無料で入れるという。

日本ではこれまで、国内で発見されたバンクシーの作品が路上を離れギャラリーなどで公式に展示されたことはなく、作品が本物であれば、都庁舎を「ギャラリー」に、公開に向け舵を切った小池知事が国内初の「キュレーター」となることになる。

議論を呼ぶ一方で、連休中、都内のアート巡りの目玉になることも間違いなさそうだ。