DIESEL×DIESELが紡ぐカルチャー　時代を超えた若者へのメッセージ

「DIESEL（ディーゼル）」は裏切らない。それはこれまでDIESELを見てきて分かったことだ。洗練されたデザイン、ハイエンドな素材、心躍る新しいシルエットで、DIESELは堂々と世界屈指のプレミアム・カジュアルブランドの地位を確立している。

昨年後半クリエイティブ・ディレクターに就任したグレン・マーティンス（Glenn Martens）は、早々に創始者レンツォ･ロッソ（Renzo Rosso）を目指したものと等しいビジョンを打ち立て、DIESEL史上最もタイムレスなアイテムとストーリーを誕生させた。「DIESELは不遜、大胆であると同時にユニバーサルな存在感で世界的に知られている。その原動力になっているデニムは世界的な重要ファッションアイテムだ。破壊、皮肉、全力な大胆さと、DIESELの服には必ずメッセージ性がある。時代への主張、世相の反映が、至るところに散りばめられているのが、よく見てもらうと分かるはず」というマーティンスの言葉通りに最新コレクションは仕上がっている。

コラボ相手は他ならぬDIESEL自身。DIESELの作り出す挑戦的、画期的かつタイムレスなアイテムにふさわしいストーリーで、DIESELの姿を高次元から見つめるDIESEL×DIESELコレクションは、DIESELの伝統アーカイブと2021年の概況とを融合させ、未来への移行を媒介している。

©︎DIESEL x DIESEL LOOKBOOK

DIESEL×DIESELカプセルコレクションでは、DIESELのリアルな80年代、90年代のアーカイブを起点とし、ヴィンテージアイテム25点をアップグレード。かつてのアイテムが新たな加工、シルエット、グラフィックでアップデートされ、21世紀の今に降り立つ。当時の世相を反映していたアイコニックアイテムが今らしく提示され、クラシックの意義、タイムレスなスタイル、プロダクトとしてのレベルの高さが改めて強調されている。

この苦境において世界を元気付けるDIESELのアプローチにさらにフォーカスする形で、今回はベルリンを拠点に活動する3人のクリエイターに、ベルリンでお気に入りの、目下パンデミックの打撃に苦しむカルチャースポットを案内してもらった。ベルリンのアート界に身を置く3人にとってなぜその場所が多様に繁栄するベルリンカルチャーの最高峰なのか、移り変わる時代の中で、そこにエネルギーや明るさを取り戻すにはどうすれば良いかを考えさせられた。

Jacket ¥126,500, Denim Shirt ¥53,900, Denim Pants ¥52,800

Leather Jacket ¥170,500, Denim Shirt ¥53,900, Denim Pants ¥52,800

ベルリン歴が長く、ベルリン市内のバーやナイトライフにコミュニティーや安らぎの場所を見出してきたジェローム・グロック（Jerome Glock）。案内してくれたのは思い出深いローゼズバー。クロイツベルク区で人気のオラニエン通りにあるくクィアパブだ。

「LGBTQIA+コミュニティーの一員である自分にとって、ナイトライフはとても大事だった。ローゼズは素の自分のまま安全に過ごせる居場所を提供してくれていた。ベルリンは活気ある都市だけれど、マイノリティーへの嫌悪、差別がある点は欠点だ。だからローゼズのようなクラブやバーは自分達が自分らしく安全にいられる大事な場所だった」と彼は言う。パンデミックの影響は多くの業界に及んでいるが、これまでのところ最も苦しんでいるのはアートやカルチャーのホットスポットだ。「ローゼズみたいな場所やギャラリー、クラブ、バーが少しでも早く営業を再開して復活することを祈るばかりだよ。今は規制もころころと変わり続けているし、今後を予測することは難しいけれど」とグロック。

変化は物理的な空間においてのみ起きているのではない。私生活の多くの側面もまた、新しい、これまでよりゆったりとした形へと方向転換している。グロックが自身の美的感覚を表現するのに使ったキーワードは「レザー、過去のインスピレーション、実験」の3つ。しかしそんなグロックも、昨年ほとんどの人がそうなったのと等しく、よりカジュアルなスウェットパンツやパーカーを着ることが増えている。DIESELで気に入っているのは写真で着ているレザージャケットだという。「ちょっとした木こりっぽい気分になれる。これに、好きなデニムのパンツを合わせるのが定番だね。DIESELの一番いいところは毎回キャストが多様性に富んでいることと、いつも違ったデザインでデニムを見せているところだ」と彼は言う。

Leather Vest ¥143,000, Hoodie ¥30,800, Pants ¥71,500

イベントというイベントが絶たれ、クリエイティブ活動を継続する糸口探しに苦しむパフォーマーもいる。そんな中、ダンサーのスティーブン・ファスト（Steven Fast）は「若手のプロダンサーにとって、アーティストとしての自分を見つめる時間やゆとりはなかなかない。だから1度目のロックダウンの時間は、自分が本当に関心を持っていることは何なのかとじっくり理解する機会になった。僕はクラシックバレエのダンサーだけれど、ダンスというのは単に身体を動かすだけではない。頭脳と身体と感情が強く結びついてできているものだと気づいたよ。その繋がりを強めることが自分を癒すことに繋がった」と前向きな側面を語った。そんなファストと共に訪れたのは、ミッテ区のマラメオダンススタジオだ。初めて他のパフォーマーと知り合い、ベルリンのダンス界を知るようになった場所だという。「エネルギーを共有して熱くなること」こそが、今できなくなって一番残念なことだと言う。「人間には身体を動かしてグルーブを楽しみたい気持ちが元々ある。カルチャースポットやナイトライフスポットはきっと復活する。ダンスはどんな人の中にもある根源的なものだから」。

そんなファストはDIESELのブランド精神、開放性に刺激を感じるという。「DIESELの『For Successful Living』というスローガンはとても勇ましく挑戦的で革新的だった。撮影で特に良かったのはそれぞれのルックの二面性が見えているところ。それから自分自身の強烈な奇妙さを出すことができたところ。ロックダウン中、髪の毛を伸ばしたことが、自分のジェンダーアイデンティティを考え直すきかっけになった。ある日、一人で踊っている途中、鏡に映った自分が一瞬とても女性的に見えた。と思ったらまたものすごく男性的な部分も見えた。しばらくその二面性を楽しんでいるうちに、だんだん自分の性別が何であろうと関係ないと思うようになった。自分は何にでもなり得るし、何でもない。そう思うととても解放される気がした」。自身を「エネルギーに満ちている、官能的、風変わり」と形容するファストにとって、DIESELが刷新してきたアイテムは、彼自身の人間性を申し分なく体現し、流動的なジェンダーアイデンティティを楽しむことを可能にしてくれる存在であるようだ。

Leather Jacket ¥170,500, Denim Pants ¥52,800

複数の職業を掛け持つジョーゼット・トライプス（Georgette Tripes）もまた今ベルリンが抱えるクリエイティブバズの欠如問題に向き合う一人だ。「パンデミックを通して、体制上、アーティストやアート愛好家の自由が剥奪された。ドイツ国内の文化はこれまでよりさらに確かなものになる」と彼女は説明する。トライプスはモデル、ミュージシャンとして活動する傍ら、ボーイフレンドと共に、多様性や意識ある消費といったテーマにも取り組んでいる。自身のスタイルを「自然、正直、色がある」と形容する彼女にとって、今回DIESELを着た印象は新鮮だった。「オールグレーのレザーとデニムの組み合わせがとてもいい」と彼女。着心地の良い服装がより日常の中で存在感を増す今、彼女の着たDIESELルックはコンフォートとスタイルの完璧なクロスオーバーと言えるだろう。

可能な限りのクリエイティブ領域を渡り歩く彼女が選んだ場所は「YAAM（ヤングアフリカン・アートマーケット）」。思い入れの強い場所だという。ストリートアートギャラリーやクラブ、バー、近くを流れるシュプレー川で知られている。「YAAMは開放性、受容性、楽しみの場所。YAAMを支援することで自由の空間、アートの空間を支援している。そこが自己表現、愛、団結の空間になる」のだと彼女は言う。インクルーシビティや人種差別撤廃といった点で改善の余地がまだ大いにあるベルリンにおいて、YAAMのような場所はPOC（プルーフ・オブ・コンセプト、新概念の検証、実証）の拠り所となる重要な場所だ。「去年は誰にとっても大変な一年だった。私は体制や世間の煽る恐怖に惑わされないようにしていたけれど、パンデミックであろうとなかろうと、昔も今も変わらず一番難しいのは自分の内面をいかに律するかだと思う」とトライプスは語った。

いつか規制が解除された際に、マラメオ、ローゼズ、YAAMのようなカルチャーハブに完全な活気をもたらすためには、こうした場所同士が結束を強め、露出度を高めていくことが必要だ。DIESELなどのブランドが未来を見据え、2021年を、新たな、前向きなフォーカスで進めて行こうと取り組む今はまさに、ベルリンのような都市を全ての人にとって安全な場所にしているカルチャースポットに注目すべき最高の瞬間だ。

DIESEL×DIESELのフルコレクションは下記のリンクからチェック。

*全て税込価格

©︎DIESEL x DIESEL LOOKBOOK

Words by HighsnobietyJapan