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DIOR(ディオール)」は3月1日(日)から15日(日)まで、大阪・阪急うめだ本店で「ディオール、パリから日本へ」展を開催する。

日本文化に着想を得たオートクチュールのドレスから、さまざまなアーティストに再解釈されてきた「レディ ディオール」バッグまで、メゾンの貴重なサヴォワールフェールを紹介。幼少期を過ごした仏ノルマンディー地方グランヴィルの崖の上に建つ邸宅に飾られた浮世絵を見て、日本に対する思いを高めたというクリスチャン・ディオールは、日本のセンスや職人技術、モダンさにも賛辞を送っていた。

同展では、ジョン・ガリアーノからラフ・シモンズ、マリア・グラツィア・キウリまで、メゾンの伝統に受け継がれるなど、DIORの後継者にも影響を与えてきた日本の精神について触れ、パリから大阪に運ばれたオートクチュールピースを展示する。

1957年秋冬コレクションでディオールがデザインした「ジャポン」ドレスは、ジョン・ガリアーノのクリエイションにも影響。ジャコモ・プッチーニによるオペラ「蝶々夫人」にインスピレーションを得た英国出身のガリアーノは、ショーで発表したドレスをそれぞれ日本のヒロインにちなんで命名した。大きな肘掛け椅子や、巨大な花を咲かせた桜の木々など、印象的な装飾を背景に、日本版「不思議の国のアリス」の登場人物のようにモデルたちを演出。着物や帯など技巧を凝らした作品も「ディオールナイズ」して登場させ話題を呼んだ。「Lu-Lee-San(ルリサン)」と名付けたルックは、シンプルさと洗練を融合させた作品で、折り紙への情愛を込めたという。

日本への情熱はラフ・シモンズの作品にも及んでいる。建築とシャープな構造とを組み合わせ、2013年秋冬オートクチュールコレクションでは、伝統への情熱とミニマリズムの芸術を融合。その後、マリア・グラツィア・キウリにも継承され、ディオールによるアンサンブル「ジャルダン ジャポネ」へのトリビュートとして、優雅なイブニングドレスに桜の枝にとまる一羽の鳥のモチーフを描いた。

ポル・バリルが捉えた写真も展示し、制作の裏側を紹介。バリルはメゾンのパートナーとして審美眼を持ち、フランス語で「プティット マン(小さな手)」と呼ばれる職人たちの仕草の美しさや巧みな手振りをレンズに収めてきた。職人たちは、ハイジュエリーから「ジャディオール」シューズまで、全分野のデザインをスケッチから形にしているといい、会場ではディオールの「アトリエ」を設置。ニュールックの象徴「バー」ジャケットと、「レディ ディオール」バッグを制作する職人たちの様子が見られる。

現代アートシーンをけん引するアーティストの詩的な想像力などで再解釈されてきたレディ ディオールは、ダニエル・アーシャム、オリンピア・スカリー、名和晃平らの作品を展示する予定。名和の作品は、一見ピクセルの集まりのようなガラスの泡による造形作品となっている。

デヴィッド・リンチ、ジャン=バティスト・モンディーノ、ピーター・リンドバーグによる写真をはじめ、アーカイブの貴重な資料も展示し、メゾンの歴史をたどるほか、資料では、ご成婚の際にディオールが特別にデザインした3着のドレスを着用された上皇后美智子さまの写真や、貴重なスケッチも公開する。ほかに、京都の老舗「龍村美術織物」の織物で仕立てられた「ウタマロ」アンサンブル(1954-1955年秋冬コレクション)のスケッチなども展示。

タイトル:「ディオール、パリから日本へ (Dior, from Paris to Japan)」
会場:阪急うめだ本店(大阪府大阪市北区角田町8-7)9階 阪急うめだギャラリー、阪急うめだホール
会期:3月1日(日)~15日(日)
開催時間:日曜~木曜=10:00-20:00、金曜・土曜=10:00-21:00