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Where the runway meets the street

まもなく70年を迎えようとしている「Goldwin(ゴールドウイン)」がカリフォルニアはサンフランシスコに海外初となる旗艦店をオープンした。

サンフランシスコはジャクソンスクエアの木々が立ち並ぶストリートにある昔のウェアハウスにオープンしたGoldwin。街の歴史ある商業地区に活気をもたらす、「A.P.C.(アーペーセー)」や「Aēsop(イソップ)」「Filson(フィルソン)」「Isabel Marant(イザベル・マラン)」などのブランドのブティックや高級レストラン、「Allbirds(オールバーズ)」や「Shinola(シャイノラ)」のようなサンフランシスコを代表するショップの一つとして新たに加わった。今回のオープニングレセプションでも提供をしていた有名なワインバーも、レンガの路地を進んだところにある。サンフランシスコのダイバーシティを構成するクリエイティブや金融、テック企業のハブとなるエリアと言える。

カリフォルニアのゴールドラッシュ時代を象徴するジャクソンスクエアの建築は、1900年初頭の火災や地震対策を意識している。そして、典型的なカリフォルニアというよりは世界の歴史を感じられるエリアでもある。移り変わる世界に適応しながらも、個性を維持している場所。つまり、長きにわたり、世界の先鋭テクノロジーを有するアパレルブランドをこつこつと巧みに築き上げたGoldwinと重なる。

北カリフォルニアではもはや、ゴールドウイン社を知らないものはいない。バークレーで誕生した「The North Face(ザ・ノースフェイス)」の販売を、1978年に日本で開始した後、日本限定の「The North Face Purple Label(ザ・ノースフェイス パープルレーベル)」も生み出した。そう考えると、ゴールドウイン社の社名を冠したオリジナルブランドGoldwinのサンフランシスコでの直営店オープンは、ホームカミングのような感覚だ。

昨年11月に丸の内にオープンした旗艦店のデザイン基準を則りつつ、サンフランシスコの店舗ではミニマルな東京の美学とカリフォルニアローカルの要素が邂逅する。白くペイントされたブロック壁はサンフランシスコのウェアハウス感をそのままに、Goldwinのロゴに込められた「Ski」「Mountain」「Dynamism」を象徴する写真が飾られている。

床から天井まで伸びる店舗正面のガラスファサードの前には、サンフランシスコの通りを彩る典型的な木がそびえ立つ。

店舗の構築に携わったGoldwinのブランドマネージャー、新井元は、街の豊富な緑にインスピレーションを得たと言う。ローカルの植物を扱うお店を転々とし、店舗に置く緑を探し続けた。ベイエリアの成長と多様性に敬意を表したセレクションとなった。店の中心には巨大なフィカス(ゴムの木)が鎮座し、バス停スタイルのベンチがある。週末を自然で過ごしたいと思うキャリア志向の高い客にここに座って、週末の冒険について語り合ってほしいと新井は語る。そして、願わくばGoldwinのアイテムがその冒険で活躍してほしいと考えている。

店内のアイテムセレクションやデザインは、シティライフと自然の融合を物語っている。これはGoldwinをまだ身近に感じていないという人にも、Goldwinのビジョンを語る上で重要な要素だ。

Goldwinの繊細なテーラリングが光る2019年秋冬のスキー、アウトドア、アスレチックのコレクションや、C3fitのコンプレッションウェアはもちろん、The North Faceや「Icebreaker(アイスブレイカー)」「Fischer(フィッシャー)」のバッグやアクセサリー類、アメリカを代表する「Danner(ダナー)」のブーツも取り扱う。「Black Diamond(ブラック ダイヤモンド)」のヘッドランプから「Sea to Summit (シートゥサミット)」の100%シルクコットンのスリーピングバッグなどのアウトドアプレミアムアクセサリーもあり、「gestalten(Die Gestalten Verlag社発行の本)」のようなアウトドアフォーカスの出版物がディスプレイとして展示されている。アパレルからアクセサリーに至るまで、クオリティオブライフを向上させるアイテムが勢揃いだ。

Goldwinのコレクションは、GORE-TEXやハイクオリティのダウン、シーム加工、防水ジップ、いかなる環境でも心地よさを追求するクロージャーなどのテクノロジーだけではなく、隠れたマルチポケットやフードを固定するマグネットなどの実用性も兼ね備えている。Goldwinのテクノロジーとモダンライフをおくるためのタイムレスなデザインへの細部に至る追求が見てとれる。トーンを抑えたアースカラーのグリーンやブルー、イエロー、カーキがそれぞれのシルエットを強調している。スキーで滑る際のカーブ、シュプールラインから着想を得たステッチが胸元を走るアイテムもある。Goldwinの髄を見事に極めた、繊細ながらも印象的なディテールだ。

サンフランシスコという都市は、テクノロジーにおいて世界的リーダーでありつつ、ヨセミテ国立公園やタホ湖など世界有数の大自然からも近い。まさに、Goldwinの新たなチャレンジには相応しい場所であると言える。長きに亘る開発の背景に裏付けられた、世界的にも高品質でテクノロジーを備えたスポーツウエアや都市生活に向けたアパレルの数々が、サンフランシスコを起点にアメリカ全土へ知れ渡るのも時間の問題だろう。

【関連リンク】Made in Goldwin|歴史と融和する新しい挑戦

Goldwin公式サイト

Goldwin San Francisco