Off-White™の盟友が、新時代を駆動する。
これは、カムバックではない。Off-White™(オフホワイト)の次なる時代は、変革そのものにある。だが、過去に向き合うことなくして、真の進化はない。そして、その過去がOff-White™のように輝かしい歴史を持つものであれば、多少のノスタルジーが伴うのも当然だ。
Off-White™を、現代を象徴するブランドへと押し上げた定番アイテムに敬意を表し、同ブランドは親交のある10人のクリエイターを迎え、フーディー、デニム、アイウェア、バッグなどのOff-Whiteのアーカイブから選ばれた10のシグニチャーアイテムを再解釈する。「10×10」コレクションは、単なる過去へのオマージュに留まらない。それは、Off-White™の未来を示す設計図でもある。
Off-White™の創設者ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)は、前衛的なコラボレーションによって日常そのものを更新した。彼の非凡なピースは、“SHOELACES” や “OBJECTS” といった工業的なグラフィックによって新たに生まれ変わり、その型破りなラベリングは瞬く間にブランドのアイデンティティの基準を塗り替えた。こうしてOff-White™は、ハイファッションとストリートウェアを繋ぐ架け橋を築いた。その橋を、いまもなお多くのブランドが渡り続けている。
Off-White™の創設から13年を経たいま、様々な分野で活躍するクリエイター達が、アブローがブランドを今日のラグジュアリーシーンの中核へと押し上げるうえで用いたスタイルコードを自在に扱いながら、それぞれの解釈を加え、彼とOff-White™に敬意を表している。
過去を振り返り、未来へ切り込むことで、10人のデザイナー達は、Off-White™を象徴するアイコンに新たな息吹を吹き込んでいる。その背景について、彼らはHighsnobietyの独占取材で語っている。

クリスティアーノ・ファニャーニ(Cristiano Fagnani):Off-White™ 最高経営責任者
「Off-Whiteは常に、対話と革新が交差する地点に存在してきました。10人の先見的なクリエイターを招き、主要なカテゴリーを再解釈することで、私達は過去をなぞるのではなく、レガシーを現代的な表現へと転換し、ヘリテージを絶えず更新し続けています」
A$AP Nast(エイサップ・ナスト):ラッパー
「この時計は時間を示すためのものではなく、時間そのものに問いを投げかけるものです。ヴァージルと、時間やレガシー、そして時間を超えて存在するということについて、何度も思いを巡らせました。時間は伸び縮みし、関わり合い、私達自身が形づくるものです。この時計が問いかけているのは “いま何時か” ではなく、“その時間の中でどう生きるか” なのです」
ヴェネダ・カーター(Veneda Carter):デザイナー兼Veneda Carter(ヴェネダ・カーター)創設者
「『Meteor』は、既存の価値観を揺さぶる存在です。衣服にひとつ、あるいは複数のカットアウトを取り入れることで、全く新しく、それでいてどこか見覚えのあるものを生み出す発想に強く惹かれました。また、ヴァージルが様々なカテゴリーに取り入れたそのシグネチャー的な手法を称えることにも魅力を感じています。私が心を動かされたのは、そのカットアウトによって女性のフォルムが建築のように立ち上がり、強さと脆さのあいだに均衡が生まれていたことです。その “空白” は欠落ではなく、自信そのものなのです」
キッド・カディ(Scott Mescudi):ラッパー
「今回私が再解釈したアイコンは、“使うことで変化し続けるものをつくる” という発想に基づいたものです。『Out Of Office』はレイヤーで構築され、経験によって形づくられ、履くことで変化していきます。個人のアイデンティティを映し出すこのシューズは、保管するものではなく、履き込むためのものです。Off-White™に触れるときに感じてほしいのは、自由、スキル、そして自信——つまりスケーターの精神そのものです」
レネル・メドラノ(Renell Medrano):写真家兼ディレクター
「Off-White™のアイウェアとのコラボには、写真やディレクションと同じ視点で向き合いました——世界を見るための新しいフレームをつくる、ということです」
ステファン・アシュプール(Stéphane Ashpool):PIGALLE(ピガール)創設者
「見慣れたものを敢えて揺さぶりたかったんです。スタジャンは所属意識やチームの一員の象徴です。多くの人がそこに自信や力強さを見いだしているアイテムなので、だからこそ私はその見方を少しずらし、別の視点から捉え直したかったのです。ほんの少し視点を変えるだけで、異なる見方ができることもあるのです」
©︎ OFF-WHITE™
ラウル・ロペス(Raul Lopez):LUAR(ルアール)創設者
「私は、一見無意味に見えるものに意味を与えたかったんです。大胆さと革新性を意識しながら、このアイコンを称えたいと思ったんです。そして、このバッグのデザインは、『Jitney』が変化や進化を象徴するように、その起源から新しい形へと変化していく過程を映し出しています。形やサイズ、質感、色で遊ぶことが、Off-White™の過去と、これからの未来を繋ぐ対話になっています」
細川雄太:READYMADE(レディメイド)創設者
「このフーディーは、Off-White™にとって特別な歴史を持つアイテムです:それはブランドを象徴するアイコンであり、よく知られた名作と言えるでしょう。2010年代に登場したファッションアイテムの中で、フーディーが一番お気に入りだと語っていたヴァージルのインタビューを読んだ記憶があります——私も同感です。全体のバランスや質感、ディテールを再構築することで、フーディー本来のアイデンティティを残しながら、新しい形へと昇華させました」
ギレルモ・アンドラーデ(Guillermo Andrade):424(フォートゥーフォー)創設者
「私にとってデニムは単なる素材ではなく、記憶が形になったものです。強くて耐久性があります。アーカイブやヴァージルの作品を見ると、レイヤリングやワークウェア、反復といった構造を理解したくなります。これは単なる再現ではなく、敬意です;彼が築いた構造を理解し、それをさらに発展させることだと考えています」
アヴァ・ニルイ(Ava Nirui):デザイナー兼スタイリスト
「Tシャツは、私にとってソーシャルプラットフォームのようなもの——つまり、人と繋がり、自己表現をするための場です。創造性のための究極のキャンバスでもあります。そこには、人との繋がりや、私達が公的にも感情的にも自分をどう形づくるかが表れます。まるで、プロフィールの断片のように、個人的でありながら共有されるものだと捉えています。手作業的なコミュニティの感覚が恋しくて、それを実体のある服として表現したいと思いました」
バフィック(Bafic):写真家兼ディレクター
「いま私達が見ているものは、Instagramのタイムラインに流れる画像のように、全てデジタルデータ(=忘れ去られるもの)です。時代の文化のように移ろい続けるものを物理的に残しておけるため、写真集やZINE、カタログ・レゾネといった出版物は常に重要な役割を担っています。だからこそ、Fine Printのような出版社はこれまで以上に重要な役割を果たすと考えています……そして私が常に疑問に思っていることは、いまの時代の “残るべきもの” をどのように定義するのか、ということです」
- Words: Tayler Adigun