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東京・南青山の「agnès b. galerie boutique(アニエスベー ギャラリー ブティック)」で5月25日(土)から、写真家・伊丹豪の個展「ENTAILMENTS JOURNEY」が開かれる。

1976年生まれ・徳島県出身。写真集「study」「this year’s model」「photocopy」などで海外からの評価も高い伊丹。展覧会名にも掲げた「entailments」は、日本語で論理的帰結を意味し、伊丹にとって写真で言う絞りやシャッタースピード、ピント位置など光学的操作の結果がイメージを決定することに当たるという。

伊丹はまた、entailmentsのアナグラムが「sentimental(センチメンタル)」であることも重要としている。今回展示する作品は、1971年に出版された荒木経惟の写真集「センチメンタルな旅」そのもののアナグラムでもあり、当時の荒木の私写真宣言がその後の国内の写真の流れをつくったことも含め、現代社会や写真を撮る行為への疑いに対する伊丹なりの回答が表現されている。

「本気で憧れ続けた『写真家』という偶像は、今や、ほとんど機能しなくなった」と伊丹。「写真家」と呼ばれる人が口にする「写真」に対し、現代の世の中に流通するのは、スマートフォンに代表される、複数のレンズで記録され、瞬時に合成され、映像と静止画の境も曖昧な「時代そのもの」「テクノロジーそのもの」とも言えると続ける。

「極めて現実に近い複製は、最も現実から遠い、全く違う何かである」と伊丹が語るように、会場では「過去にないほどの精度」で、誰もが見たことのあるようなものを「見たことのない見え方」の写真として提示する。

開催時間は13:30~18:30。月曜休廊。7月21日(日)まで。