世界最大のストリートカルチャーイベントInnersectをレポート
待望のスニーカーを上海で目撃するまでは、真のストリートカルチャーを体験したとは言い難い。世界で2番目に多い、2400万人以上の人が住む街、上海は浦東新区で、中国で最もアツいストリートカルチャーイベントの一つである、Innersect(インナーセクト)が行われる。
今年、その超ホットな中国のイベントにHighsnobiety Shopのブースを構えた。Chinatown Market(チャイナタウン マーケット)とStranger Things 3(ストレンジャー・シングス シーズン3)とのコラボレーションアイテムの再販に加え、由緒ある日本の小売企業のBEAMSと提携して作られたMizuno(ミズノ)の「Wave Creation WaveKnit」と、「City Series」の上海版のTシャツ、フーディーを発売した。
数々のブランドのInnersect限定アイテムが会場内で登場した。ストリートファッション業界のカリスマであるVERDY(ヴェルディ)は自身のレーベルであるWasted Youth(ウエステッド ユース)とGirls Don’t Cry(ガールズ・ドント・クライ)のアイテムを販売するギフトショップを出店。NEIBORHOOD(ネイバーフッド)はP.A.Mと手を組み、注目アイテムを販売。Nike(ナイキ)とJordan Brand(ジョーダン ブランド)は、今週最もアツい2足を公開した。CLOT(クロット)とFRAGMENT(フラグメント)とのコラボレーションによるBlack Silk Air Force 1と、エディソン・チェン(Edison Chen)とコラボした「White Silk Jordan 1 Mid」だ。
SNKRSアプリやローカルのオンラインショップで何かおかしなことが起こっていると感じたなら、Innersectがどうなっているかを見るべきだろう。初日は会場に6万人を超える人々が来場したが、限られた数の在庫を加味すると、後は想像できるだろう。
多くの人気ブースの中でも特に盛り上がりを見せていたのが、APPPortfolioと共に行われたArsham Studio(アーシャム スタジオ)のインスタレーションだ。ダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)は、ミッキーマウスとコラボレーションする滅多にないチャンスを手に入れ、いくつかの異なるバージョンを作成し、頭ひとつ抜きん出た。「Mickey:A True Original」版の特別な「Hollow Mickey」のミニチュアバージョンを発売した。これらのアイテムにさらに価値が付いたのは、中国でしか手に入らない点にある。アーシャムコレクター達が購入のために世界中の転売サイトを駆け巡るのが確実なのも、価値が付く理由だ。
「もう一度、ウォルト・ディズニー(Walt Disney)の当初の作品を遡るうちに、1936年の『Through the Mirror(鏡を通して)』に辿り着いた。不思議の国のアリス(Alice In Wonderland)のような世界観で、ミッキーが実際に鏡を通して向こう側の世界に行き、その世界では天地がひっくり返り、全ての物が逆さまになっている」と、「Hollow Mickey」の背景にあるインスピレーションについてアーシャムは語る。
アーシャムは、DIOR(ディオール)と我々による本「The New Luxury」のトークセッションに参加し、Dior Jordan 1の個人的な見解も語ってくれた。ラグジュアリー界に労力を注ぎ込むためには、ただ靴をアトリエで作り直すのではなく、職人のクオリティを抜かり無く高めることを彼は指摘した。それに加えて、なぜ中国でのショーを楽しめたかを話した(彼の上海での展示会は数週間前に終了した。)ラグジュアリーブランドのアトリエで単に作るのではなく、職人達によるサヴォアフェール(職人技)の質を向上させるためのブランドが持つ歴史についてだ。そして、数週間前に上海での個展が終わったばかりだが、中国で開催した理由などを語ってくれた。
「私は中国人の客に何か感じるものがあった。彼らの文化への理解は、アメリカやヨーロッパで感じたそれよりもかなり広い。それは歴史が関係していると思う。ここにいる何人かが、スニーカーと芸術作品をそこで見て、それらを区別することはしなかった。私の考えと同じで、少し親近感が湧いた」
- Words by: Jian DeLeon