style
Where the runway meets the street

「ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)」が、「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」メンズのアーティスティック・ディレクターに指名されたばかりだが、その時「カニエ・ウェスト(Kanye West)」 はすでに、自身のブランド「イージー(YEEZY)」の7シーズン目を発表していた。この2人には、また違う世界にいた時代がある。

2009年、カニエとヴァージルは、「フェンディ(Fendi)」でのインターンに申し込んでいた。彼らが正規の選考のプロセスを経たかどうかは疑問だが、この2人は意外にもほかのインターンたちと同様の待遇で扱われた。

それが意味するところは、ヴァージルは当時、9時から17時まで働くよう要求された。なかにはスーパーバイザーのコーヒーを買いに行くことや、コピーを取ることの仕事もあったという。カニエは、過去の彼の経験をオープンにしている。「毎日働いて、働きまくって、カプチーノを手に入れていた」と、自分自身の経験をこう語っている。

加えて、カニエとヴァージルは、他のインターンたちと同じく1カ月あたり500ドルの給料を貰っていた。しかし、当時のカニエはすでに、複数ものグラミー賞に獲得していた。想像してみてほしい。彼らがたった500ドルをもらってコーヒーを飲んでいたのだ。

この2人が「フェンディ」にいた際に会長兼CEOを務めていた「マイケル・バーク(Michael Burke)」は米『NYタイムズ』に対し、「私からは月の給料として500ドルを払ったけれども、それで彼らは働き場に全く新しい風を吹き込んだ。彼らの型破りなスタイルに本当に感銘を受けたよ」と語った。バークはすでに「フェンディ」のCEOの座を降り、現在は「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」のCEOに就任している。バークはそれからずっと、ヴァージルの進化を追い続けているという。

「AMP Radio」のインタビューでも、カニエは「フェンディ」のインターン経験について言及。「ジュゼッペ・ザノッティ(Giuseppe Zanotti )」と「バルマン(Balmain)」のスニーカーのデザインをしていたと話した。2012年には「ジュゼッペ・ザノッティ」の靴に惚れ込んで、靴工房で2年間、レディースシューズのデザインを学んだ。その後、「ルイ・ヴィトン」とのコラボで「ジャスパー(Jasper)」、「ミスターハドソン(Mr. Hudson)」、「ドン(Don)」という3スタイルのスニーカーをリリースした。

どうやらカニエとヴァージルにとって、コーヒー作りとコピー取りが全てではなかったようだ「BBCラジオ1」でDJの「ゼイン・ロウ(Zane Lowe)」とインタビューした際、カニエはジョガーパンツが2人にとってのアイディアだったと言った。「僕たちは6年前、『フェンディ』にレザーのジョガーパンツを持ち込んだけど、相手は『ノー』と言ったんだ」。

「フェンディ」でのインターンシップが始まる前に、カニエは「ラフ・シモンズ(Raf Simons)」 でのインターンシップには失敗していたようだ。米『NYタイムズ』によると、デザイナーのラフ・シモンズは、カニエが自社でのインターンを希望していたというニュースに対しこう話している。「カニエにインターンシップがしたいと言われたとき、衝撃を受けたよ。もちろん、彼が真剣に言っていることだとは理解していた。でも、彼をうちのインターンとして使うことを想像できたか? 極端すぎる状況だ」。

カニエとヴァージルが、「フェンディ(Fendi)」のインターンでコピー取りをしていなかったら、今どこで何をしていただろか?

彼らの結びつきやスターの力によってチャンスはあるが、2009年に1カ月500ドルで9時から17時まで働き、ファッション界でのキャリアを培ったという2人を想像するのは、非常におもしろいことなのだ。