OAKLEYに必要なのは、トラヴィス・スコットが支持するデザイナー。
トラヴィス・スコット(Travis Scott)がOAKLEY(オークリー)のチーフ・ヴィジョナリー・オフィサー(CVO)を務めていることをご存知だろうか? 実際このラッパーは昨年から、同大手スポーツウェアブランドのヴィジョンを担っている。ただし、これまでの消費者に向けた取り組みとしては超限定のサングラスがいくつかリリースされた程度だ。それでも彼が歩みを止めていないのは明らかで、その一例がマシュー・M・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)の起用である。
ウィリアムズは、1017 ALYX 9SM(アリクス)の共同創設者であり、GIVENCHY(ジバンシー)のクリエイションを統括していた人物だ。現在は自身の名を冠した新レーベルに取り組んでいるが、新たに「OAKLEYのクリエイティブ・ディレクター」という肩書きが加わる。また、3月26日に発表されたリリースによると、彼がOAKLEYのアパレル・フットウェア・アクセサリー(AFA)部門を率いることが発表された。

注目すべきは、この動きが「トラヴィス・スコットと足並みを揃える形で進められた」とリリースで言及されている点だ。彼は、以前からウィリアムズの作品を強く支持してきた。
ウィリアムズがヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)と共同で立ち上げたブランド、Been Trill(ビーントリル)のTシャツが人気を集めた際、スコットは既に最も入手困難なバリエーションを身にまとっていた。1017 ALYX 9SMのローラーコースターベルトがストリートウェア界の象徴的なアイテムとなった頃、彼は既にコレクションを揃えていた。さらに、ウィリアムズがAudemars Piguet(オーデマ・ピゲ)とのコラボを発表した1年後には、スコットのブランドCactus Jack(カクタスジャック)が独自のモデルを発表している。
スコットがウィリアムズの後を追ったというよりは、むしろ両者のクリエイティブな感性が完璧に合致していると言った方が近い。端的に言えば、二人は互いを理解しているのだ。OAKLEYのリリースでスコットの名前が何度も登場するのも、そうした関係性ゆえだろう。
「カリフォルニアで育った自分にとって、OAKLEYは身近な存在で、以前からブランドの技術力と革新的な姿勢に惹かれてきました。そしてそれは、私自身のプロセスやデザイン言語とも重なる部分があります」とウィリアムズは語った。「この会社の一員となれることを光栄に思います。トラヴィスやOAKLEYのチームと協力しながら、ブランドを新たな時代へと導いていくことを楽しみにしています」
ウィリアムズのデザイン言語は既にOAKLEYらしいものだった。1017 ALYX 9SMでは、主にイタリア製の上質な素材を使用していることからラグジュアリーながらもどこか未来志向の荒さも兼ね備えており、それはOAKLEYの視点とも重なっていた。
ウィリアムズの役割は、もちろんアイウェアの刷新だけではなく、アパレルやフットウェアにも及び、後者のカテゴリーは大きな可能性を秘めている。OAKLEYのアーカイブは既に卓越しているが、そのプロダクトはさらなる展開へと開かれていて、そこにウィリアムズのような力強い声が加わる。OAKLEYが彼を必要としているのは、既存のプロダクトが不足しているからではない。むしろ、それらを引き上げる余地があるからだ。統一されたデザイン言語によって、プロダクトはさらに磨かれていく。
そして、OAKLEYはSupreme(シュプリーム)と同じくエシロールルクソティカ傘下にある。その背景を踏まえ、約20年にわたりストリートウェアに携わってきたウィリアムズがついに両者を繋ぐ存在になるかもしれないと考えるのは、野心的すぎるだろうか?
これはまさに、チーフ・ヴィジョナリー・オフィサーの出番なのかもしれない。
- Words : Jake Silbert
- Photography: © OAKLEY