LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)は、ニューヨークのフリック・コレクションで2027年クルーズショーを発表した後、ランウェイを彩った56のルックの背景を説明するメールを配信した。その中で、特に印象に残った一文がある。「ポップアート、ポップカルチャー、そしてポップラグジュアリー。“ポピュラーであること” そのものが、人に届くための強い装置になる」。

ポップアートへの言及は必然だった。というのも、今シーズンにはキース・ヘリング財団とのコラボレーションがあったからだ。その着想源となったのは、1984年にキース・ヘリング(Keith Haring)が落書きを施したLVトランク(2020年に3万5075ドルで落札)であり、その結果として、ポップアートの先駆者による “顔のない人物モチーフ” がサマードレスやテーラードジャケットを彩ることになった。一方のポップカルチャーとは、ポップアートの元ネタになるような日常そのものだ。

だが、“ポップラグジュアリー” とは一体なんなのだろうか?

ある意味では、それは矛盾した言葉だ。多くの人々に親しまれる大衆的なものが、同時にラグジュアリー、すなわち高価で手の届きにくい存在であるはずがない。だが、LOUIS VUITTONのように世界を席巻するラグジュアリーメゾン、あるいは現代のファッションそのものを表現する言葉として、これ以上ふさわしい言葉は思い浮かばない。

ハイファッションは、とうの昔にポップカルチャーの一部となった。シーズンごとのショーは大規模な演出となり、ラグジュアリーブランドは誰もが知る存在となっている。そしてLOUIS VUITTONは、(Swarovski(スワロフスキー)のCEOによる意図せぬ後押しもありつつ)この広く浸透した知名度を言い表す、完璧な言葉を見つけ出したのだ。

クリエイティブディレクター、ニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquière)による2027年クルーズコレクションは、ポップラグジュアリーを体現したものだった。

そのフランス人デザイナーは、14世紀にまで遡る古典絵画や希少な工芸品を所蔵する歴史ある美術館であるフリック・コレクションを舞台に、キース・ヘリングのポップアートを披露した。彼は、その遺産管理団体が過去にSwatch(スウォッチ)やH&M(エイチアンドエム)ともファッションコラボを行ってきたほど、極めて商業性の高いアーティストでもある。さらに彼は、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が手がけたLOUIS VUITTONの最もキッチュなアクセサリーのひとつであるボクシンググローブを復活させ、多くのルックの足もとには、Nike(ナイキ)の「エア フォームポジット」をラグジュアリーに再解釈したような、波打つデザインのスニーカーを合わせていた。

2027年クルーズコレクションは、多くのポップアート作品と同様、鮮やかな色彩が激しくぶつかり合うようなコレクションだった。ルック50に登場した巨大なフリルカラーや、ストラップで覆われた鋭いテーラリングのレザージャケットといった大胆なアイテムもあったが、LOUIS VUITTONは同時に、“現実のワードローブの反映” と呼ぶポップカルチャー的な要素、つまりブルージーンズやスポーティなアスレジャー、そしてレザーのライダースジャケットなどにも光を当てていた。