Nikeの「.SWOOSH」は、Web3.0に興味がある人を引き込めるだろうか?
「Web3.0に興味がある人を引き込むには、慎重で安全な方法で行う必要があります」と、Nike(ナイキ)のロン・ファリス(Ron Faris)は指摘する。ファリスは、ブランドの新しいヴァーチャルプラットフォーム「.SWOOSH」を支える一人だ。
「web2.0というと、『.com』を連想しがちですが、web3.0では、まず最初に独自のドメインを確保しました。『.nike』はその場所になり、.SWOOSHはNikeの全てのヴァーチャル製品のホームとなります」
.SWOOSHは、Nikeのヴァーチャル製品のホームとして作られた。これはブランドにとって初めての試みで、コミュニティのメンバーはデジタルオブジェクト、シューズ、ジャージなどを集め、共同で制作し、交流することができる。
最終的にこのコミュニティは、商品を取引したり、特別な商品や事前注文、現実世界のイベントにアクセスできる場所になる。最初のデジタル商品のリリース後、コミュニティは無料のヴァーチャル商品を獲得するためのチャレンジに参加できる。
ファリスはHighsnobietyに、まずNikeがRTFKTから学んだことについて説明した。Web3.0の先駆者であるRTFKT(アーティファクト)は、「コミュニティ、共同創造、忠誠心」という基本的要素の「設計図を書いた」としており、それはNikeが.SWOOSHで達成しようとしていることだと強調した。
Web3.0マニアの間で、RTFKTは優良プロジェクトである一方、ファリスは、Nikeでは.SWOOSHを “Web3.0に興味を持っている人” を対象に企画をしたという。
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仮想通貨に慣れていない人を迎えるために、ファリスは「安全な入口を作りたい」と話す。Web3.0の導入は苦労しているため、Nikeはより多くの有名アスリートや影響力のあるカタリストを.SWOOSHに招待し、デジタルコミュニティがスポーツの未来をリードすることを強調した。
会社が目標を確実に達成するために、アトランタ、ロサンゼルス、シャーロット、タラハシー、ルイビル、ニューヨークシティを含む6つの都市を周り、.SWOOSHに新しい技術をいち早く導入できなかった地域を支援する予定だ。
RTFKT, together with Nike CryptoKicks, introduce the future of Sneakers, powered by Skin Vial tech
Welcome to 2052 : 🌐👟🧪 pic.twitter.com/7449L79Bf4
— RTFKT (@RTFKT) April 22, 2022
2022年12月は、ベータテスターは最初の1カ月を教育期間として過ごし、その後、.SWOOSHの最初のコレクションが2023年1月にリリースされた。
ファリスに、仮想通貨を使わない人々のインセンティブを高めるため、RTFKTが利用してきたフィジタル・ユーティリティ(トークン保有者にデジタル商品を通して物理的な商品を提供する)を受け継ぐことがどれくらい重要であったかを尋ねると、「Nikeは両方を少しずつ試してみるつもりです。全てのヴァーチャル製品が物理的な製品に繋がるわけではありませんが、いくつかは繋がるでしょう」と述べた。
「私達の目標は、どの実用品に反響があるのかを試して、学ぶことです。誰もが興味を持つ物理的なスニーカーを販売するのとは違います。ヴァーチャル製品を持つ意味とは? 何が本当に受け入れられるのかを試して、知ることが、イノベーション文化を加速させることの素晴らしさです」
.SWOOSHの最初のゴールは、人々がどうやってヴァーチャル製品と関わるかという行動を知ることだ。Nikeはいつか、ジョーダンのような高い人気を誇る製品を世に送り出したいと考えているが、まずはこの新しいデジタルキャンバスの中で、それぞれのブランドがどのように語られるのかを理解することが先だ。
多くの点で、Nikeはまだ他と同じようにメタバースを理解しようとしている。そのため、仮想通貨を使わない人々にも参加してもらう必要がある。
仮想通貨に触れたことがないNikeの顧客にとっての.SWOOSHの価値について尋ねると、ファリスはこう答えた。「私達のメンバーや消費者の中には、物理的な世界と同じ位、仮想世界でプレイする自分の見た目を気にする人が増えています」
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「私達の望みは、消費者が仮想世界で好きなゲームをプレイしている場所で、サービスを提供することです。自分の着ているものを披露したり、誇示したり出来る美的な実用品は、これまで私達が焦点を当ててこなかった新しい領域で、自分を表現するのに非常に有意義です。クリエイターであることの意味を再定義したいです。デザイナーである必要はなく、自分の表現したい視点があれば誰でもいい」
将来的には、外部のNFTウォレットを.SWOOSHに接続し、プラットフォーム上でデジタルアイテムの取り引きができるようになる。
しかし、技術統合の前に、Nikeはこれまでの顧客に新しいデジタルの領域に立ち寄ってもらいたいと考えている。この仮想通貨の冬の間、.SWOOSHはまさに必要な火種になるかもしれない。